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心配しはじめたゴールドマン

2017/05/15 09:24

「動かない相場」

アメリカで先週、政治スキャンダルがありました。トランプ大統領がFBIのコミー長官を電撃解任。去年の選挙でのトランプ陣営とロシアの深い関係への捜査を拡大する方針をコミー長官が司法省に示した直後だっただけに、捜査妨害ではないかと主要メディアが大々的に報じました。

ロシア疑惑で、トランプ政権の経済政策が遅れるとの懸念が広がりました。ニューヨーク株式相場が下落しましたが、下げ幅は限定的でした。

ダウは先週、110ドル(0.53%)下げました。S&P500は0.35%安でした。テクノロジー株の比率が高いナスダックは0.34%上昇しました。

先週は小売株の下げが目立ちました。大手のメーシーズ、ノードストローム、JCペニーが予想を下回る決算を発表、それぞれ株価が急落しました。

恐怖指数と呼ばれるCBOEのVIXが歴史的低水準に低下しましたが、週後半に10.41に上昇しました。1桁台を抜けました。

ただ、ダウの動きは鈍いままです。バロンズによりますと、ダウが1%以上、上下どちらかの方向に動いた日は年初から4日しかありません。1965年以来の少なさだそうです。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのストラテジストは、「異常な静けさはホラー映画のようだ。何か恐ろしいことが起こる予感がする」とバロンズにコメントしました。ただ、ベア(弱気)相場に転じることを意味しているのではないとも述べています。

「小売決算続く」

今週も小売大手の決算が相次ぎます。16日にホームデポ、17日にはターゲット、そして、18日にはウォルマートとギャップが四半期決算を発表します。

シスコシステムズ、セールスフォース・ドットコムも今週決算発表を予定。注目されています。

今週はまた、マイクロソフトが、16日から18日までワシントン州リッチモンドで、「CEOサミット」を開催します。テクノロジー企業の経営者のほか、カナダのトルドー首相も参加します。

小売各社の決算などに加え、トランプ政権のロシア疑惑をめぐる動きも今週の株式相場に影響する可能性があります。

「心配しなさすぎ」

トランプ大統領が1月20日に就任して以降、過去に例がない動きが続いたにもかかわらず、ニューヨーク株式相場が崩れることはありませんでした。背景には、トランプ政権による大幅な減税、インフラ投資、規制緩和への期待があります。

ただ、「ウォール街は心配しなさすぎではないか」との声が出てきました。CNBCによりますと、ゴールドマン・サックスのアナリストは先週、トランプ政権の税制改革に不透明感が増しているとの懸念を投資家向けメモでコメントしました。下院が8月の休会に入るまでわずか39日しかないのに、進展がないとしています。

ホワイハウスは先月、大幅な法人税減税を含む税制改革案の骨子を発表しました。しかし、減税分を補う財源の確保については具体策が欠けていました。メキシコとの国境の壁についても不透明です。

税制改革はウォール街の最大の関心。アナリストの懸念が広がれば、株価の上値を抑える可能性があります。


 [May 15, 2017 NY 049]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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