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トランプ・ラリーと1980年

2016/11/28 15:37

「ラッセル2000が記録的上昇」

ドナルド・トランプ次期大統領が主導する減税や大型の公共投資などへの期待感で上昇基調が続く株式相場。「Trump Rally(トランプ・ラリー)」と呼ばれています。

先週はサンクスギビング・デーを挟み取引日が少なく、25日は短縮取引でした。それでも休むことなく、トランプ・ラリーが継続しました。

トランプ・ラリーを象徴するのがラッセル2000という株価指数です。発行株式数が少ない小型株の指数ですが、15日連続で上昇しました。上昇がこれほど長く続いた例は過去にありません。指数は最高を連日更新しました。トランプ氏が大統領選に勝利して以降、ラッセル2000は約13%上昇しました。

主要業種の代表的な30銘柄で構成されるダウも最高値を連日更新しました。先週は284ドル(1.51%)上昇、1万9152ドルで取引を終えました。心理的な節目の1万9000ドル台に乗せた後も買いが継続しました。S&P500は1.44%高、ナスダックは1.45%上昇、それぞれ過去最高値値をつけました。

Barron’sは、現金を保有する投資家が競うように株式を買っていて、少し下がった局面では誰もが押し目買いを入れていると解説しました。ラッセル2000が記録的な上昇を続けるのは、中小企業が減税の恩恵を大きく受けるとみられているからだとしています。

「雇用統計」

今週のニューヨーク株式市場の最大の材料は2日発表される11月の雇用統計です。FRBが金融政策を決める12月13−14日のFOMCで、利上げするかどうかを明確に示唆するだろうとみられています。2日の相場展開が12月の相場の方向を決めることになりそうです。29日に予定されているニューヨーク連銀のダドリー総裁とフィッシャー副議長の講演も注目されています。

「ブラック・フライデー」のオンライン版である「サイバー・マンデー」の売上も注目です。アマゾンなどオンライン小売各社が毎年記録を更新していますが、どこまで売上高を伸ばすか。投資家の心理に影響する可能性があります。

海外の材料では、30日にオーストリアのウィーンで開かれるOPECの会合が注目されています。リビアとナイジェリアが減産計画に署名しないとみられているほか、イラクとイランの動向が不透明です。減産の具体策への期待がある反面、「期待外れに終わる」可能性も指摘されています。OPEC加盟国ではありませんが、産油大国のロシアの動向も注目されています。

「1980年との類似点と相違点」

Barron’sの最新号は、トランプ・ラリーが1980年の状況と類似していると伝えました。

1980年11月の大統領選では、元俳優で共和党候補のロナルド・レーガン氏が、現職大統領だった民主党のジミー・カーター氏を大差で破りました。70歳を目前にした勝利、最高齢で離婚歴がありました。1981年1月20日に第40代大統領に就任後、社会保障費を縮小すると同時に軍事費を中心にした財政支出の拡大や減税による景気刺激策、規制緩和を相次いで発表。「レーガノミクス」と呼ばれました。

第45代大統領に選ばれたドナルド・トランプ氏も共和党。離婚歴があり、現在70歳と高齢。テレビ番組のスターでもあります。就任後に財政拡大や減税を実行すると公約しています。確かに似ている。

しかし、経済環境が大きく異なります。1980年のインフレ率は14%、長期国債の利回りは11%でした。さらに1980年は米ドルが安かった。いまと全然違う。1980年の政府債務残高はGDP比30%程度でしたが、現在は約100%に増えています。

環境があまりにも違いすぎて比較するのはおかしいとの意見もあります。自然だと思います。しかし、マーケット関係者が1980年との類似性を指摘するのは、心理的なものだとの見方をBarron’sが紹介しました。
 
 [November 28, 2016 NY 026]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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