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FRBめぐる思惑と窮地のトランプ

2016/10/10 15:22

「早期利上げ観測」

注目されたアメリカの9月の雇用統計は、非農業部門の就業者数の伸びが予想を下回りました。失業率は予想に反し小幅ながら上昇。しかし、雇用市場に陰りがでたと考えた人はいませんでした。賃金が上昇したこともあり、「雇用は引き続き堅調」と受け止められました。

ISMの製造業とサービス業の景況感指数がいずれも予想以上に強かった記憶も新しく、FRBが12月に利上げするとの見通しに大きな変化はありませんでした。

一方、ヨーロッパでは、ECBが量的緩和の縮小を議論していると伝えられました。ECB関係者が報道を否定しましたが、投資家の懸念は消えませんでした。さらにイギリスでは、メイ首相が、預金に頼る消費者に低金利が打撃となっていると演説で述べました。イングランド銀行の緩和策をけん制した発言。世界の中央銀行が予想より早く利上げ方向に動くとの見方が広がり、株価に影響しました。

ダウは先週、39ドルもしくは0.37%下落、1万8240ドルで取引を終えました。S&P500は0.67%安、ナスダックは0.27%安。週間ベースで3つの主要株価指数が揃って下げました。

Barron’sは、雇用が比較的堅調、製造業が回復、そして低金利が継続するとの見方を背景に、業績がパッとしないのに投資家が株を買ってきたと解説。しかし、3つ目の低金利見通しが変わる可能性があり、忍耐が限界にきているとしています。

先週の取引では、金利に敏感な高配当の通信株、公共株、そして不動産関連株が売られました。

「決算が本格化」

元ファンド・マネジャーで、CNBCのコメンテーターをしているジム・クレイマー氏は、7日に業績見通しを下方修正したハネウェルが急落したことなどを例にあげ、投資家は企業決算に警戒すべきだとコメントしました。

月曜日のコロンブスデーを過ぎると第3四半期(7−9月)の企業決算の発表が本格化します。11日にはアルコア、12日はCSX、13日はデルタ航空、そして14日はシティ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴなど金融大手が決算を発表します。

特に、11日のアルコアと14日の金融大手の決算が相場全体に影響する可能性があります。不正販売が社会問題になっているウェルズ・ファーゴのCEOの辞任が発表される可能性があるとの見方もあります。

今週はFRB幹部の発言も注目です。特に、12日に予定されているニューヨーク連銀のダドリー総裁の講演、そして14日のイエレンFRB議長の講演が材料視されています。

大統領選挙まで1カ月を切りました。大統領選の行方が株価に最も影響すると指摘されています。

「オクトーバー・サプライズ?」

週末に大統領選に絡む2つの材料が出ました。ウィキリークスが民主党の大統領候補のクリントン氏が削除したメールの一部を公開。ウォール街に厳しいとされるクリントン氏が、ゴールドマン・サックスをはじめ有力な金融機関とのやりとりでウォール街を擁護する発言をしていたことがわかりました。クリントン氏は支持率で共和党候補のトランプ氏をリードしていますが、「不支持率」でもトランプ氏を上回っています。裏表があるクリントン氏の信頼感に打撃となりました。

もう一つは非常に大きいです。11年前のトランプ氏の女性蔑視発言を収録したビデオテープが表に出ました。NBCのゴシップ番組「アクセス・ハリウッド」の本番前のやりとりを録画したもの。この中でトランプ氏は、「有名人になれば、女性を好きなようにできる」と発言。魅力的な既婚女性と関係を持った状況を、「放送禁止用語」を交えながら話しています。トランプ氏は有力な大統領候補。選挙戦から撤退を求める声が共和党内から相次ぎました。

この原稿は、ミズーリ州セントルイスでの2回目のテレビ討論会の前に書いています。討論結果がどうであれ、破廉恥で下品な発言でトランプ氏が極めて不利な立場に立たされたことは変わらないと考えます。大統領選の転換点となる可能性があります。「オクトーバー・サプライズ」と後で言われるかもしれません。
 
 [October 10, 2016 NY 019] 

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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