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ストラテジスト、年残り4カ月に慎重

2016/09/05 15:09

「低成長と低金利」

ニューヨーク株式市場では、アメリカ経済の成長が鈍化、低い金利が長期間続くとみられています。先週の相場展開がそれを示しています。

注目を集めた8月の雇用統計は、重視される非農業部門の雇用者数が前月比15万1000人増と、予想の18万人増を下回りました。FRBが注目する賃金の伸びは鈍化しました。また、前日に発表されたISM製造業業況指数は49.4で、予想の52を大幅に下回りました。50が景気の良し悪しの分岐点とされており、下回ったことは「景気が悪い」ことを示唆しています。

弱い経済指標の発表が相次ぎ、FRBの早期利上げ観測が後退しました。ダウは先週、0.5%(97ドル)上昇し、1万8491ドルで取引を終えました。S&P500は0.5%高でした。変動率が40日連続で1%を下回りました。ナスダックは0.6%上昇して1週間を終えました。売買高は1週間を通して非常に低調でした。

ただ、米国債利回りは上昇、米ドルが高く取引されました。債券市場と外国為替市場が、株式市場と異なり早期利上げの可能性があるとみていることを示唆しています。

「秋相場」

5日月曜日は、日本の勤労感謝の日に相当するLabor Dayで祝日です。アメリカではLabor Day明けから「秋」とされています。

秋相場の第1週は、比較的静かになる見通しです。サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁が6日夜に講演。もう一人、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁が9日に講演する予定です。8日にはベージュブック(地区連銀経済報告)が公表されます。7日のアップルのイベントも注目されています。

来週は、海外の材料が相場に影響する可能性があると指摘されています。中国のサービス部門のPMI、日銀の黒田総裁の講演、ECB理事会が注目されています。中国・杭州でのG20首脳会議の影響は限定的とみられます。

「残り4カ月に弱気」

Barron’sの最新号の表紙には「Tough Game(困難なゲーム)」という見出しがつけられました。Barron’sは、ウォール街の有力な株式ストラテジストにそれぞれの相場見通しを聞いていますが、今回はやや弱気な見方が優勢でした。

S&P500の年末終値の平均予想は2138。先週金曜日の2180を下回っています。ほぼ横ばい、もしくは小幅に値下がりする可能性があるとストラテジストが予想しています。ただ、見方にばらつきがあります。2017年については小幅な上昇にとどまるとみています。非常に慎重と言えます。

年内残り4カ月と来年の株式相場に大きく影響すると見られるのが11月8日に実施されるアメリカの大統領選です。ストラテジストの間では、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官が勝利するとの予想がコンセサスになっているとBarron’sが解説しています。

Barron’sと同じダウジョーンズ社傘下のMarket Watchは、「株式市場は既にクリントン勝利を織り込んでいる」と伝えました。「地すべり的勝利」、つまり大勝すると株式市場がみているとしています。

予想が外れ、共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利した場合は、株が売られるとの見方が優勢です。シティグループの調査部は、トランプ氏勝利の場合、選挙直後に3〜5%株価が下落すると予想しています。

ところで、9月は歴史的に「株が下がる月」です。1890年代にダウ指数が導入されて以降、平均すると1年のうち9月だけで相場が下がっています。リーマン・ショックをはじめ過去の「暴落」も9月に起きています。今週から9月相場、秋相場が本格化します。

[September 05, 2016 NY 014]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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