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米雇用統計の見方、次の10年の世界は

2016/08/01 15:17

「薄商い」

アメリカ人とアポを取るのが難しい、と最近よく耳にします。この時期、家族で長期の夏休みを取っている人が多いからです。投資家にも家族がいるし、恋人がいる。先週のニューヨーク株式市場の売買高は1週間を通して低調でした。

薄商いの中、ダウは週間ベースで0.7%下落。1万8432ドルで7月最終週を終えました。小幅ながらも連日下げました。S&P500はほぼ横ばい、0.1%安の2173でした。ただ、アップルやアルファベット(グーグルの親会社)などテクノロジー企業の決算が予想を上回ったことが寄与、ナスダックは1.2%高の5162で取引を終えました。

いずれの株価指数も1週間を通して狭いレンジで推移しました。決算は全体的にまずまずでしたが、ポジティブ・サプライズと呼べるほど強くはありませんでした。

先週開かれたFRBが金融政策を決めるFOMCは、「短期的なリスクが和らいだ」とする声明を発表しました。これを受け、年内、早ければ9月にも利上げがあるとの観測が広がりました。利上げの窓が開いたとされました。しかし、アメリカ商務省が29日に発表した第2四半期のGDPは1.2%増にとどまり、予想の2.5 〜2.6%を大幅に下回りました。弱いGDPを受け年内利上げ観測が後退。利上げの窓が早くも閉められました。

利上げ観測の後退は、通常、株式にポジティブに影響します。ただ、同時に、背景となった弱いGDPは、企業の業績が減速するとの見方にもつながります。GDPを押し下げた最大の要因は企業の設備投資の落ち込みでした。

「雇用統計」

ウォール街が来週注目しているのは3つ。1日に発表される中国の製造業のデータ、4日開催のイングランド銀行の金融政策委員会、そして、5日発表のアメリカの7月の雇用統計です。

最も注目されているのはアメリカの雇用統計。強い内容であれば、利上げ観測が再燃、特に高配当の企業の株価に影響しそうです。反対に弱い場合は、保護主義を主張する共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ氏に有利に働くとの思惑を呼ぶ可能性があります。不透明感が増すと指摘されています。

雇用統計について元ヘッジファンド・マネジャーで、CNBCのコメンテーターであるジム・クレイマー氏は、内容に関わらず株価にネガティブに影響する可能性があると警告しました。

来週も企業決算の発表が続きます。P&G、タイム・ワーナー、ケロッグなどの大手企業が決算を発表します。決算期は株価が変動することが多く、クレイマー氏は様子見のスタンスを勧めています。夏枯れに追加する形で、再び商いが細る可能性があります。

「次の10年」

Barron’sの最新号の表紙、巻頭記事は、モルガン・スタンレーのチーフ・ストラテジストが取り上げられました。インド出身の若手、ルチール・シャールマ氏。ウォール街では有名な存在です。The Wall Street JournalやThe New York Timesなどへの寄稿でも知られています。世界情勢、新興国の分析で定評があります。

シャールマ氏は、今後5〜10年後の世界経済について、強い経済成長が見込める勝者としてアメリカ、ドイツ、インド、メキシコ、南アジア、そして東南アジアをあげています。一方、経済低迷が予想される敗者は、中国、ロシア、カナダとオーストラリア、サウジアラビア、フランス、タイ、そしてトルコだと分析しました。

中国については、シャールマ氏が重視する人口問題、グローバル化、産業などの分散化、そして民主化のいずれもがネガティブだとしています。また、トルコは、エルドアン大統領が民主主義から独裁主義に変貌、経済に打撃となるとしています。対照的に、アメリカは、起業の成功が続き、いい意味で富が創造されるとポジティブな予想をしています。

 [August 01, 2016 NY 009]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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