松島新の週刊2分でわかるNYダウNYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート
ポジティブに新年迎えるか
2021/12/27 07:27
「最高値」
クリスマスイブの休場で4日間の取引となった先週、株式相場は大幅に上昇しました。週初めは大幅安だったものの、その後の3日続伸でS&P500種株価指数は4245に上昇、過去最高値で終えました。ダウ工業株30種平均は前週末比1.7%高。ナスダック総合株価指数は前週比3.2%上昇しました。
投資情報誌バロンズは、新型コロナウイルスの感染による米国内の累計死者が80万人を超える中、S&P500は年初から26%近く上昇。2018年の水準の倍近くになったと伝えました。
アメリカの新型コロナウイルスの感染者の73%をオミクロン型変異種が占めたという統計が発表されました。感染力が強く新規感染者の増加ペースが加速したものの、デルタ型など他の変異種と比べ症状が軽いとの分析結果が複数発表されました。アメリカの連邦食品医薬品局(FDA)がファイザー製とメルク製の経口治療薬を認可したことも寄与、悲観論が楽観論に変わりました。
「サンタラリー」
2021年最後の週となる今週は材料が乏しく、市場参加者の多くが休暇中のため売買高が低調になると予想されています。
経済指標の発表は薄め。27日にケースシラー住宅価格指数、28日は中古住宅販売、29日に新規失業保険申請件数とシカゴ購買担当者景気指数(PMI)が発表されます。
CNBCは、今週のアメリカ株式市場について、オミクロン型変異種に対する警戒感が後退、サンタクロースラリーが継続する可能性があるとの見通しを伝えました。ポジティブなトーンが新年に引き継がれる可能性があるものの、薄商いのため方向感が出ないとの見方もあるとしています。
「2022年の米株見通し」
幅広い投資家のベンチマークであるS&P500は2020年に16%上昇、2021年は先週末までに26%上がりました。2022年については、歴史的に高い上昇率が継続しないと多くの投資家が予想しています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは26日、連邦準備理事会(FRB)が利上げに動く公算を背景に投資家が高バリュエーションに慎重になる見通しだと報じました。
ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、2022年の見通しを発表した13の銀行と金融サービス会社の2022年末のS&P500の平均予想は4940と、先週末より約4.5%高い水準を見込んでいます。最も強気はBMOキャピタル・マーケッツで5300、現在より12%高い水準を予想。最も弱気はモルガン・スタンレーで4400、6.9%低い水準を見込んでいます。来年は米国債利回りが上昇、PER(株価収益率)が低下すると予想していることが背景です。
CNBCのまとめたウォール街の2020年見通しもほぼ同じ結果。S&P500の平均予想は4985と、現在の水準より6%高い水準。最も強気はオッペンハイマーで5330でした。
2022年のアメリカ株式相場のリターンは低く、ボラティリティの高い展開になるというのがウォール街の見方といえます。FRBが利上げ開始に続く形でQT(量的引き締め)に動くとの見方、バイデン大統領の大型歳入・歳出法案の行方、中間選挙、新型コロナウイルスがエンデミック(パンデミックが収束せず一般化すること)化など相場に影響する材料は豊富。特に来年前半は不安定な展開になるとの指摘が少なくありません。
[DECEMBER 26, 2021 NY286]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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