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インフレがテーマ、バイデン政策とFRBに注目

2021/11/15 07:25

「利回り上昇が圧迫」

投資家が予想を超えるペースで上昇するインフレへの懸念を強めています。アメリカ労働省が先週発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年比6.2%上昇しました。変動の大きい食料品とエネルギーを除くコアCPIは4.6%上昇。いずれも9月から伸びが加速、エコノミストの予想を上回りました。1990年1月以来31年ぶりの高インフレでした。

投資情報誌バロンズは、CPI発表後の株式先物は小幅高で推移したものの、米30年物国債の入札が低調だったことを受け利回りが急上昇したことが株式相場に影響したと報じました。CPIより利回り上昇を懸念したということです。債券市場のボラティリティが高まり、他の市場に影響する恐れがあるとバロンズが解説しました。

ダウ工業株30種平均は先週、前週末比で0.6%下落しました。S&P500種株価指数は0.3%安。ナスダック総合株価指数は前週比0.7%下げました。

「米中首脳会談とウォルマート決算」

CNBCは、今週のアメリカ株式市場について、インフレ高進と連邦準備理事会(FRB)の金融政策をめぐる観測が引き続き相場を動かしそうだとの見通しを伝えました。

今週発表されるアメリカの経済指標では10月の小売売上高が最も注目されています。12日に発表されたミシガン大学の消費者信頼感指数は高インフレを背景に心理が悪化していることを示唆しました。リッチモンド地区連銀のバーキン総裁、アトランタ地区連銀のボスティック総裁、カンザスシティ地区連銀のジョージ総裁、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁、シカゴ地区連銀のエバンス総裁、FRBのウォーカー理事、そしてクラリダ副議長が今週、発言する機会があります。インフレと利上げにどう言及するかが注目です。

小売り大手が四半期決算を今週発表します。特に16日の小売最大手ウォルマートが市場全体に影響する可能性があります。半導体のエヌビディア、シスコシステムズ、アプライドマテリアルズも決算を発表します。

アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席のバーチャルの首脳会談が15日(日本時間の16日午前)に予定されています。インフレ抑制を最優先課題とするバイデン大統領が対中関税に関しどう発言するかが注目。内容次第で株価を大きく動かす可能性がありそうです。

「政治問題化」

アメリカの3大ネットワークの日曜朝の報道番組はいずれも国内のインフレ加速を大きく取り上げました。政治主体の番組で、インフレが政治問題化したことを示しました。FOXニュースは、バイデン大統領の政策がインフレを押し上げていると報じました。

ウォール・ストリート・ジャーナルは週末、インフレが加速し、FRBの「一過性」という説明が難しくなりつつあると伝えました。別の記事で、食料品、ガソリン、家賃の高騰が、民主党の経済政策のリスクになったと報じました。野党の共和党にとってはバイデン大統領の政策に反対する根拠ができたことになるとしています。

ABCニュースとワシントン・ポストの共同調査は、アメリカの有権者がバイデン大統領の経済政策に不満を抱いていることを示しました。支持率が最低水準に低下、アメリカの経済状況については70%が「悪い」と答えました。2022年の中間選挙に関して、民主党を支持する人は41%に留まり、共和党の51%を大幅に下回りました。

インフレ高進がバイデン大統領の政策とFRBに影響する可能性があり、展開次第でアメリカ株式相場に大きく影響することも予想されます。

[NOVEMBER 14, 2021 NY280]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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