松島新の週刊2分でわかるNYダウNYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート
悲観論織り込んだ株式相場、一部で楽観論
2021/10/18 07:27
「週間ベース上昇」
上値の重い展開が続いたアメリカ株式相場。先週後半の2日間で大きく上振れました。
サプライチェーン(供給網)の制約・混乱を背景に、運送費が上昇、港は大渋滞で荷下ろしできない、トラック運転手が不足、モノが届かず商品棚に空きが目立つ。サプライチェーンのボトルネックが企業業績を圧迫するとの懸念が株式相場の上値を抑えていました。投資情報誌バロンズは、誰もが懸念した問題は株式相場に既に織り込み済みだと伝えました。
9月はじめのレイバーデー後に約1%下がったS&P500種株価指数は先週、前週末比で1.8%上昇。レイバーデー後に3%下落したナスダック総合株価指数は先週2.2%上がりました。レイバーデー後の下げが小幅にとどまったダウ工業株30種平均は先週、前週末比1.6%上昇しました。
原油価格上昇でエネルギー株が堅調。強い決算発表を受けゴールドマン・サックスをはじめ大手銀行株が積極的に買われました。世界的に新型コロナウイルスの感染増加ペースは鈍化、アメリカ政府がワクチンを完全接種した外国人の入国を認める方針を示したことで航空株をはじめ経済再開銘柄が大幅に上昇しました。
「テスラとネットフリックス」
今週の株式市場の焦点は有力企業の決算。テスラとネットフリックスのほか、P&G、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アメリカン・エキスプレス、インテル、ハネウエル、IBMなどのブルーチップ(優良)が四半期決算を発表します。企業決算を通過すれば、全体的な状況を把握できると指摘されています。先週の大手銀行の決算は強めでしたが、今週以降の決算が当面の株式相場の方向を決めることになりそうです。
経済指標は、22日発表のアメリカの製造業およびサービス業の購買担当者景気指数(PMI)が相場を動かす可能性があります。
「ビッグマネー」
バロンズは最新号で、巨額資金を運用するマネー・マネージャーを対象にした調査結果を伝えました。
今後12カ月のアメリカ株式相場について、ブル(強気)は50%でした。ニュートラル(中立)は38%。ベア(弱気)は12%に留まりました。強気派のダウの年末予想中央値は3万5662ドル、来年6月末は3万7187ドルでした。一方、弱気派のダウ年末予想は3万3437ドル、来年6月末は3万1681ドルと予想しました。
今後6カ月で株式相場が直近高値から10%下落する調整があるかとの質問に対しては79%が「イエス」と答えました。直近高値から20%下げるベア相場入りを予想したのはわずか9%でした。株式市場の最大リスクについては、財政・金融政策がトップ、インフレ、米国債利回り上昇が続きました。
今後12カ月で株式パフォーマンスが強いと予想する国・地域の質問については、アメリカが54%でトップ。15%の新興国市場、14%のヨーロッパが続きました。中国は11%。日本はわずか6%で最下位、日本株への関心の低さを示しました。
[OCTOBER 17, 2021 NY276]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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