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上がり続ける相場、一部で懸念も
2021/02/15 11:25
「最高値」
大型経済対策への期待、連邦準備理事会(FRB)の超緩和策の維持、ワクチンの普及。新型コロナウイルスのパンデミックで打撃を受けたアメリカ経済が年後半に力強く回復するとの観測を背景に株式相場の上昇基調が続いています。
ダウ工業株30種平均は前週末比で310ポイント、率にして1%上昇し3万1458ドルで引けました。S&P500種株価指数は1.2%高。ナスダック総合株価指数は1.7%高。いずれも最高値を更新しました。
バロンズは、アメリカの株式市場には多くの期待とは別に、ネガティブになる可能性がある材料も複数あると指摘。投資アプリを利用した個人投資家の影響が継続していること、米10年物国債の利回りが1.2%台に乗せたことなど。
背景には、経済活動がいつ本格的に再開し、レストランや小売店の雇用がいつ回復するか、さらに多くの人が休暇に航空機を再び利用するのはいつか、誰も確信を持てないことだとバロンズは解説しました。
「追加経済対策と小売大手決算」
15日月曜日はプレジデンツデー(大統領の日)の連休祝日のため休場。ニューヨーク株式市場は今週4日間の取引になります。
連邦議会のコロナ経済対策をめぐる動きが引き続き材料になるとみられます。大型の経済対策への期待で長期金利が上昇傾向にあり、インフレをめぐる議論が材料になる可能性があります。
アメリカ議会では、ゲームストップなど一部の銘柄が急騰したことをめぐり、投資アプリを展開するロビンフッドの最高経営責任者(CEO)が下院の公聴会に出席します。注目を集めそうです。
企業決算も材料になるとみられます。小売最大手ウォルマート、ドラッグストア大手のCVSヘルス、石油会社のオクシデンタル・ペトロリアム、食品大手のUSフーズ、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ、農機具大手のディーアなどが決算発表を予定しています。
経済指標では、17日発表の小売売上高と生産者物価指数(PPI)に注目。17日には、FRBが会合議事録を公表します。
「コロナから1年」
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「コロナ相場」が間もなく1年を迎えます。大型の財政刺激策やFRBの緩和策を背景にアメリカの主要株価指数はコロナ前の水準を大幅に超えました。「オーバーシュートではないか」、つまり上げ過ぎではないかとの見方も少なくありません。
[February 14, 2021 NY242]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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