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不安定な展開続くか

2021/02/01 10:03

「ゲームストップ問題」

政局混迷、新型コロナウイルスのパンデミック(疾病の大流行)、弱めの経済指標。悪い材料が多いにも関わらず上昇を続けたアメリカの株式市場に異変が起きました。

きっかけはSNSアプリ「レディット」の掲示板「ウォールストリートベッツ」。ヘッジファンドが業績の低迷している一部の企業株に大きなショートポジションをとっていることに対し、掲示板の参加者がヘッジファンドとは逆のポジションで戦いを挑むことを呼びかけました。個人投資家が集中的に買い、ビデオゲーム小売りチェーン大手のゲームストップや映画館チェーン最大手のAMCなど数銘柄が急騰しました。ゲームストップ株の1月の上昇率は1625%に達しました。

買い戻しを強いられたヘッジファンドは巨額損失を出しました。ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、巻き込まれたヘッジファンドのメルビン・キャピタルは運用資金を58%減らしました。

この騒動を受け、個人投資家はゲームストップ株などを買う資金を捻出するため他の銘柄を売却し、ヘッジファンドは損を穴埋めするため利益がでている保有株を大量に売却するとの観測が広がりました。証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出し、連邦議会が公聴会を開く方針を示したことが市場全体に影響しました。連想でSNS大手のツイッターやフェイスブックも大きく売られました。

ダウ工業株30種平均は前週末比3.3%下落。2万9982ドルと節目の3万ドルを割りました。S&P500種株価指数は3.3%安。ナスダック総合株価指数は前週比3.5%安で1週間の取引を終えました。いずれの指数も昨年10月30日の週以来の大幅な下落率を記録。ダウとS&P500はそれぞれ年初水準を下回りました。

先週は、連邦準備理事会(FRB)の会合とパウエル議長の記者会見、アメリカの昨年第4四半期(10~12月)の実質国内総生産(GDP)、ジョンソン&ジョンソンのワクチンに関する発表などニュースが豊富でしたが、ほとんど材料視されませんでした。

「決算と雇用統計」

2月相場が始まります。

1日の週のアメリカ株式市場では、引き続きゲームストップ株などの動向が市場心理に影響すると予想されます。CNBCによりますと、SNSアプリの「レディット」の掲示板参加者は1週間で3倍に増えました。週末も次のターゲットになる銘柄をめぐる投稿が目立ち、「天井まで押し上げよう」と呼び掛けています。

SECをはじめ金融当局が規制に動くのか、混乱がどこまで続くかが注目されますが、株式市場は不安定な動きが当面続くとの見方が少なくありません。

また、有力企業の決算が相次ぎます。特に2日発表のアマゾン、グーグルの親会社のアルファベット、製薬大手のファイザーとアムジェン、中国のアリババなどの四半期決算が市場全体の心理に影響する可能性があります。3日は半導体のクアルコム、製薬大手グラクソスミスクライン、イーベイとペイパル、外食宅配のグラブハブなど、4日はSNSのスナップやフォード、5日は製薬会社リジェネロンが決算発表を予定しています。

重要な経済指標の発表も相次ぎます。特に5日発表のアメリカの1月の雇用統計に注目です。

「個人投資家革命」

ゲームストップ株を巡る騒動を受け、市場の主役がウォール街から個人投資家に変わる可能性があるとの見方があります。バロンズは、「ゲームストップ革命は始まったばかり」とのタイトルで詳しく伝えました。

取引手数料無料とパンデミック(疾病の大流行)が寄与して、アメリカの個人投資家の口座は昨年1年間で少なくとも1000万口座増えました。ロビンフッドなど人気の投資アプリではオプション取引が増えています。

オプション取引の一般化、SNSを使った情報発信、ヘッジファンドなどに対する逆張りなどが今後さらに進む可能性があるとバロンズが解説しました。

[January 31, 2021 NY240]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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