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ウォール街、2021年に強気
2020/12/21 11:42
「悪材料に反応薄」
新型コロナウイルスの新規感染者や死者、入院患者数が最多を連日更新。南カリフォルニアでは集中治療室(ICU)の空きがゼロになり規制を再強化、ニューヨーク市はレストランでの飲食を禁止しました。
一方、連邦食品医薬品局(FDA)はモデルナ社が開発したワクチンをスピード承認。ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチンに続いて2例目です。アメリカ議会ではコロナ禍に対応した追加経済対策案をめぐる協議が合意に近づいたと伝えられました。
コロナの感染拡大や経済活動の制限が重石になったものの、株式マーケットはワクチン普及による景気回復や追加経済対策への期待をより重視しました。
ダウ工業株30種平均は前週末比で0.4%上昇、S&P500種株価指数は1.3%高、ナスダック総合株価指数は3.1%上昇しました。
年初から先週末までのダウの上昇率は5.8%、S&P500は15%、ナスダックは42%上昇しました。小型株の指数であるラッセル2000種指数は、年初から18%高い水準へと上がりました。
2020年はパンデミック(疾病の大流行)で社会にとって非常に悪い年になりましたが、株式市場にとっては非常に良い1年だったといえます。
「クリスマス週」
21日の週は25日金曜日がクリスマスでアメリカの株式市場は休場。イブの24日は短縮取引になります。実質的に3.5日しか取引がないことになります。
週前半は銀行株やテスラ株が注目を集めそうです。先週の取引終了後にアメリカ当局が銀行の自社株買いを一部認めると伝えられ、時間外取引で大手銀行株が軒並み大幅上昇しました。取引終了後にS&P500の構成銘柄に組み入れられた電気自動車(EV)メーカーのテスラも時間外で買われました。
22日は中古車販売大手のカーマックス、23日には給与支払いサービスのペイチェックスの決算が予定されていますが、市場への影響は限定的とみられます。
経済指標は、23日発表の個人所得・支出および価格指数が注目。23日の新規失業保険申請件数も投資家の心理に影響する可能性があります。
「2021年に強気」
バロンズが金融機関のストラテジストと資産運用会社の投資責任者の計10人に調査した結果、多くがアメリカの株式相場は2021年に堅調に推移すると予想していることがわかりました。
現在3700近辺のS&P500の予想レンジは3800~4400。予想中間値は4040で、10%程度の上昇を見込んでいました。
CNBCがウォール街のストラテジストを対象にした調査でも、同じような結果が出ました。現在の水準から9.5%上昇するというのが中間値でした。ただ、新年初めは、新型コロナウイルスの感染者や入院患者の記録的な増加によって荒れる可能性があると多くが考えていました。ワクチンの普及で来年第2四半期(4~6月)に株高基調が始まるとストラテジストは考えていました。
[December 20, 2020 NY234]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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