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ベア相場の「フェイク反発」!? 荒れた展開続きそう

2020/03/30 10:18

「1938年以来の週間上昇率」

財政と金融の両輪が景気悪化を救う。アメリカの中央銀行である連邦準備理事会(FRB)は政策金利をゼロ近くに引き下げると同時に、国債などを買い入れる量的緩和(QE)を再開。連邦議会は個人や企業を支援する2.2兆ドル(約237兆円)規模の経済刺激法案を可決、トランプ大統領が署名し法律が成立しました。

支援規模はアメリカの実質国内総生産(GDP)の約9%に相当する規模です。日本の政治家が「GDPのおよそ10%」と経済支援策の規模について口を揃えるのは、アメリカを参考にしたとみられます。

先週のアメリカの株式市場は、過去最大の経済支援策とFRBの積極的な金融緩和を好感し、高く推移しました。ダウ工業株30種平均は前週比で2462.80ポイント高い2万1636ドル78セントで引けました。週間上昇率は12.84%と1938年以降で最大でした。S&P500種株価指数は10.26%高の2514.47。テクノロジー株の比重が大きいナスダック総合指数は9.05%高の7502.38で1週間の取引を終えました。

先週前半の3日間でダウとS&P500はいずれも安値から20%超反発しました。安値から10%上昇すると調整領域、合計上昇率が20%を超えるとブル(強気)相場入りと定義されます。しかし、ウォール街で「ブル相場入り」を喜ぶ人はいませんでした。「ベア相場のフェイク反発」だとみられていたからです。

1931年10月6日から8日までの3日間。ダウは20%超反発しベア(弱気)相場からブル相場に転じました。しかし、11月に再びベア相場入りし、1932年半ばまでの下落率は60%を超えました。

足もとの上昇は「フェイクな反発」であり、相場は再び崩れるとの声がウォール街では有力です。

「NY州に州外移動制限」

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。ジョンズ・ホプキンス大学によりますと、世界の感染者は3月29日時点で70万人を超えました。イタリアの死者数は1万人を超え、中国の3倍近くに達しました。スペインの死者も急増。アメリカの感染者は13万人を超えました。

アメリカの感染者の約半分はニューヨーク州。同じ経済圏にある隣接するニュージャージー州とコネチカット州の感染も急拡大しています。トランプ大統領は3州の住民の他州への移動制限を見送りましたが、疾病対策センター(CDC)は3州の住民に対し国内移動を自粛するよう強く要請しました。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長はCNNのインタビューで「アメリカの感染者は100万人単位になり、国内の死者数は20万人に達する可能性がある」と警告しました。ファウチ所長は感染症の権威です。

新型コロナウイルスの週末の状況が30日のアメリカの株式市場に影響するとみられます。連邦議会は早くも追加支援法案を協議していますが、感染拡大は終息する兆しがなく、経済や企業業績がどこまで打撃を受けるのか見通せない状況です。

ウォール街は今週発表される経済指標にも注目しています。最も注視しているのは4月2日発表の新規失業保険申請件数。先週は申請件数が300万人超へと急増し、今週も大きな数字になると予想されています。1日発表の製造業の購買担当者景気指数(PMI)やISM製造業景況指数、3日のISM非製造業景況指数や労働省が公表する雇用統計、それらが相場に影響する可能性があります。

「相場はまだ下がる」

CNBCによりますと、ビリオネア投資家のクーパーマン氏や投資会社ブラックロックのリーダー氏は、株式相場は底を打った可能性があると考えています。一方で、BMOキャピタルのストラテジストは、株式相場は不安定な展開が続くと予想しました。

ウォール街関係者が週末に読むバロンズの最新号の表紙と巻頭記事は「投資家は注意、株式相場はまだ下に向かう可能性がある」でした。アナリストは企業の業績見通しの下方修正を急いでいるが、不十分である可能性が高いとしています。ベア相場は新安値を試すまで終わらないとの見方が多いと伝えました。

[March 29, 2020 NY196]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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