(AM)米長期金利上昇が米ドルをサポート⁉

2020/10/23 08:21

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・米追加経済対策への期待が市場のリスクオン要因
・ただし、米上院の反対は強く、成立は選挙日以降
・トルコ中銀据え置きで、リラは最安値
・ディベート、最高裁判事承認、英国とEUの協議、コロナ情勢などに注目

(欧米市場レビュー)

22日の欧米為替市場では、リスクオンの流れが資源・新興国通貨をサポート。ただし、トルコリラは下落。市場の利上げ予想に反してTCMB(トルコ中銀)が据え置きを決定したことで、トルコリラは対米ドル、対円で最安値を付けました。米株高や米長期金利の上昇を背景に、米ドルは対円や対欧州通貨で上昇しました。
※TCMBの決定については、本日のファンダメ・ポイント「トルコ中銀は利上げ見送り、リラは最安値」をご覧ください。

追加経済対策への期待が市場のリスクオンをもたらしました。ペロシ下院議長は「合意はすぐそこにある」と発言。上院共和党が大規模な経済対策に強く反対しているので、追加経済対策が選挙前に成立する可能性は低そうですが、いずれは成立するだろうとの見方が背景にあります。

米長期金利(10年物国債利回り)は0.86%に上昇。今年3月の「コロナ・ショック」では一時0.31%、8月の直近ボトムで0.50%を付けていたので、かなり上昇したイメージです。とりわけ、10月後半に入って大規模な追加経済対策(=財政赤字拡大要因)の協議が前進してからの上昇が目立ちます。
※米長期金利については、21日付けファンダメ・ポイント「米長期金利のジリ高傾向は続くか」をご覧ください。

英ポンドは軟調。英国とEUの集中協議が始まることで前日の英ポンドは大きく上昇しました。しかし、スムーズに合意に至るかは不透明なため、この日は小反落。

ユーロも軟調。ユーロ圏各国ではコロナの感染再拡大が目立ち、多くの都市で行動制限が強化されています。ただ、足もとのユーロ軟調は、直接的には米国との長期金利差拡大(米>独など)の影響かもしれません。


(本日の相場見通し)

米大統領候補による最後のディベート(TV討論会、日本時間23日午前10時-11時30分)が終われば、本日は重要な経済指標やイベントは予定されていません。

引き続き米追加経済対策の状況、それに対する株価や長期金利の反応が相場材料になりそうです。米追加経済対策は選挙(11月3日)前に成立する可能性は低そうですが、いずれは成立するとの楽観論が市場でのリスクオンの背景にあるようです。

もっとも、選挙後の議会のレームダック・セッションでは12月11日に失効する暫定予算への対応など課題もあり、追加経済対策がいつ、どのような規模・内容で成立するかは不透明です。来年1月20日のトランプ政権の2期目、あるいはバイデン新政権の始動後に仕切り直しとなる可能性もあり、市場の楽観論が水を差される場面はあるかもしれません。

米上院では週明け26日にバレット氏の最高裁判事就任の承認採決が実施されます。可決される可能性が高く、その影響に対する観測が相場材料になるかもしれません。

英国とEUの集中協議の進展度合いや、週末にかけての各国(とりわけ欧州)のコロナ感染状況と対応策なども注目されるところでしょう。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。」


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