(AM)米追加経済対策の協議はクライマックス!?

2020/10/21 08:03

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・リスクオンで、ユーロ、カナダドル、新興国通貨が堅調
・ペロシ下院議長は週内の合意に向けて楽観的
・上院共和党が高いハードルとなりそう
・追加経済対策の成立は選挙以降か

(欧米市場レビュー)

20日の欧米為替市場では、米ドルが軟調で、ユーロやカナダドル、新興国通貨などが堅調でした。ただし、豪ドルとNZドルは米ドルや円に対しても下落しました。

為替市場は総じてリスクオンの展開でした。現地の午後3時に始まったムニューシン財務長官とペロシ下院議長の追加経済対策の協議が前進するとの期待が背景(後述)。NYダウは一時前日の下げ幅(411ドル)をほぼ取り戻しましたが、その後に反落。

ユーロの堅調は、米ドル安の裏返しの面が強かったようです。ただし、EUが初めて発行するソーシャル・ボンドに旺盛な需要が集まったことも、ユーロの支援材料となったかもしれません。

※ソーシャル・ボンドは、社会的課題の解決に向けた事業のための資金調達手段。今回は計170億ユーロの発行計画に対して、2,330億ユーロの需要が集まったとのこと。

英ポンド/米ドルはほぼ横ばい。英国とEUの交渉担当者が2日連続で電話協議を行いましたが、交渉再開に向けて進展はみられなかったようです。

豪ドルの軟調は、試験的な週間統計が雇用回復の鈍化を示唆したこと、RBA関係者がマイナス金利導入を否定しなかったこと、米国との長期金利差が逆転したこと(米>豪へ)などが背景でしょう。NZドルの軟調も、追加緩和期待が背景。RBNZ(NZ中銀)のオア総裁は講演でマイナス金利に言及しました。

(本日の相場見通し)

本日、英国の9月CPIカナダの8月小売売上高米国のベージュブック(地区連銀経済報告)が発表されます。コロナの感染再拡大が目立つなかで、各国の経済情勢に変化はあるか。その結果、市場の金融政策見通しが変化するか、などが注目点。

その他、米国の追加経済対策の行方も引き続き注目されそうです。

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20日午後(日本時間21日朝)、米追加経済対策に関してムニューシン財務長官とペロシ下院議長(民主党)が協議。ペロシ下院議長は、この日を協議継続か否かを見極める期限に設定していましたが、協議後に週内の合意成立に向けて楽観的な見方を示しました。

仮に、ムニューシン財務長官とペロシ下院議長が2兆ドル前後、あるいはトランプ大統領が希望する「それを上回る」規模で合意しても、高いハードルは残ります。上院共和党が大規模な経済対策に強く反対しているからです。

マコネル上院院内総務は、合意が成立すれば「上院で採決する」と明言したものの、それは選挙日(11月3日)以降になるかもしれません。

また、上院では採決さえ行われない事態もあり得ます。上院では審議を延々と続けることで採決を妨害するフィリバスターと呼ばれる戦術があります。フィリバスターを停止させて採決に持ち込むためには、スーパーマジョリティー(100議席中60議席以上)が必要です。すなわち、上院の民主党議員47人(独立系2人を含む)に加えて、少なくとも13人以上の共和党議員が賛成に回る必要があります。

したがって、トランプ政権と民主党が合意しても、ぬか喜びに終わる可能性も否定できません。

なお、上院は企業支援に絞った5,000億ドル程度の経済対策を採決する予定です。こちらは民主党のフィリバスターによって日の目をみることはなさそうです。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。」


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