(AM) トルコリラ/円が過去最安値を記録

2020/09/15 09:23

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・外貨準備の減少や高インフレ、EUによる対トルコ制裁への懸念など、トルコリラには多くのマイナス材料
・TCMB(トルコ中銀)は流動性措置でリラ安に対応も、それでは不十分!?
・TCMBの利上げ観測が高まらない限り、リラは一段と下落する可能性あり

(欧米市場レビュー)

14日の欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は105.551円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.18847米ドル、豪ドル/米ドルは0.72997米ドルへと上昇しました。NYダウの上昇やFOMC(米連邦公開市場委員会)声明がハト派的な内容になるとの観測が、米ドルの重石となりました。NYダウは、前日比327.69高の27993.33ドルで取引を終了。新型コロナウイルスのワクチン開発進展への期待、企業のM&A(合併・買収)の報道、それらがNYダウを押し上げました。

英下院は「国内市場法案(EU離脱協定の一部を無効化する法案)」の基本方針を賛成多数(340対263)で承認。これにより、4日間の法案審議が行われることになりました。

(本日の相場見通し)

本日(15日)、ドイツの9月ZEW景況感調査が発表されます(日本時間18:00)。ラガルドECB(欧州中銀)総裁は10日の理事会後の会見で、ユーロ圏経済について「これまでの予測に沿って力強い回復を示している」と述べ、楽観的な見方を示しました。ZEW景況感調査が市場予想の69.8を上回れば、ユーロに支援材料となりそうです。ユーロ/円の目先の上値メドとして、126.416円(9/10高値)が挙げられます。

FOMC声明がハト派的な内容になるとの観測が引き続き、米ドルの重石となりそうです。FOMCは15-16日に開催されます(結果や声明の発表は16日)。本日発表の米国の9月NY連銀製造業景気指数(日本時間21:30)や8月鉱工業生産(同22:15)が市場予想を下回る結果になれば、米ドルの上値は一段と重くなる可能性があります。市場予想はそれぞれ、6.0と前月比1.0%です。

***

トルコリラは14日、対米ドルや対円で過去最安値を記録。リラ/円は一時14.068円へと下落しました。

足もとのトルコリラ安の背景として、以下のことが挙げられます。

・トルコの外貨準備の減少(リラの買い支えが困難に!?)
・トルコの高インフレ
・実質金利の低さ(トルコの実質金利はマイナス3.52%)
・東地中海の海底資源をめぐるトルコとギリシャの関係悪化
・東地中海の問題でEUがトルコに制裁を科すとの懸念

フランスやイタリア、ギリシャなど南欧の7カ国は10日、東地中海の問題について「トルコが対話に応じなければ、EUは制裁を科す可能性がある」と表明。24-25日のEU首脳会議で対トルコ制裁が議題に上がる可能性があるようです。

また、格付け会社のムーディーズが11日にトルコの格付けを「B1」から「B2」へと1段階引き下げると発表(格付け見通しは「ネガティブ」)。それもリラに対する下押し圧力となっています。

リラ安に対し、TCMB(トルコ中銀)は今のところ「流動性措置(流動性を絞ることで市場金利を引き上げる)」で対応。7月16日に7.34%だった銀行の平均資金調達金利は、足もとで10%を超えています(9/14は10.32%)。ただ、リラ安に歯止めをかけるためには流動性措置だけでは不十分であり、利上げが必要と考えられます。TCMBが利上げしなければ(少なくとも利上げ観測が市場で高まらなければ)、リラは一段と下落する可能性があります。


執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。


topへ