(AM) 英ポンド:対米ドルや対円で1カ月半ぶりの安値

2020/09/11 08:47

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・主要国の株価動向。軟調に推移すれば、米ドル高や円高が進みそう
・英国とEUの対立が激化。FTA(自由貿易協定)が締結できずに移行期間が終了すれば、「合意なき離脱」に

(欧米市場レビュー)

10日の欧米時間の外為市場では、ユーロが上昇後に下落。ラガルドECB(欧州中銀)総裁が理事会後の会見で、ユーロについて「(動向を)注視しているが、金融政策の手段ではない」と述べました。ユーロ高に懸念が示されなかったことを受け、一時ユーロ/米ドルは1.19144米ドル、ユーロ/円は126.416円へと上昇しました。

ただその後、NYダウが軟調に推移するなか、米ドル高や円高が進んだことでユーロ/米ドルやユーロ/円は反落。いずれもラガルド総裁の会見後の上げ幅をほぼ消しました。なお、ECBは金融政策の現状維持を決定。中銀預金金利(主要政策金利。マイナス0.50%)とパンデミック緊急購入プログラム(1兆3500億ユーロ)のいずれも据え置きました。

英ポンドは下落。一時、英ポンド/米ドルは1.27701米ドル、英ポンド/円は135.550円へと値下がりし、共に約1カ月半ぶりの安値を記録。英国とEU(欧州連合)のFTA(自由貿易協定)交渉をめぐる懸念が引き続き、英ポンドの下押し圧力となりました(後述)。

(本日の相場見通し)

NYダウは10日、前日比405.89ドル安の27534.58ドルで取引を終了。アップルやマイクロソフトなどハイテク株が売られたほか、追加経済対策法案の動議を米上院が否決し、それらが重石となりました。

本日は、米国など主要国の株価動向が材料になりそうです。株価が軟調に推移した場合、円や米ドルにとってプラス材料と考えられ、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、クロス円は上値が重くなる可能性があります。一方、米ドル/円は“米ドル買いと円買いの綱引き”となり、方向感が出にくいかもしれません。9月に入ってからのレンジである105.594円~106.512円(9/1安値~9/3高値)での上下動が予想されます。

***

英国は1月31日にEUを離脱しました。ただ、12月31日までは移行期間とされ、その間は離脱前の状態が維持されます。英国とEUがFTAを締結しなければ、移行期間終了後に「(主に貿易面での)合意なき離脱」になる可能性があります。

ここ数日、英国とEUの対立が激化しており、「合意なき離脱」の可能性が高まりつつあります。英政府は9月9日、EU離脱協定の一部を無効化する「国内市場法案」を提出しました。EUは10日、国内市場法案を撤回するように要求したものの、ジョンソン英首相はその要求を拒否。EUは英国に対して法的措置も辞さない構えのようです。

ジョンソン首相は、EUとのFTA交渉の期限を「10月15日」に設定。残された時間はそれほど多くありません。「合意なき離脱」の可能性が市場で意識され、英ポンドには下押し圧力が加わりやすいとみられます。英ポンド/米ドル英ポンド/円は目先、それぞれ1.24780米ドル133.959円(いずれも7/14安値)が下値メドになりそうです。

※英ポンド/米ドルのテクニカル分析は、本日11日の『テクニカル・ポイント』をご覧ください。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。


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