(AM) トルコリラが対米ドルで最安値を記録

2020/08/17 09:27

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・米中貿易合意“第1段階”の評価会合が延期。米中対立が市場で意識される可能性あり
・米国では新型コロナウイルスの追加経済対策をめぐる協議が難航。米ドル安圧力に!?
・トルコリラ安に歯止めをかけるためには、中銀の利上げが必要か

(欧米市場レビュー)

14日欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は106.437円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.18467米ドル、豪ドル/米ドルは0.71736米ドル、英ポンド/米ドルは1.31399米ドルへと上昇しました。新型コロナウイルスの追加経済対策をめぐりトランプ政権と民主党(野党)の協議が難航しており、米ドルの重石となりました。

トルコリラは下落。対米ドルや対ユーロで過去最安値をつけ、対円では一時14.411円(過去最安値は8/7の14.193円)へと値を下げました。トルコの6月経常収支が29.34億米ドルと、市場予想(28.25億米ドルの赤字)以上の赤字額となり、リラに対する下押し圧力が一段と強まりました。

(本日の相場見通し)

米国と中国は貿易合意の“第1段階”の履行状況を評価する会合を15日に予定していましたが、前日(14日)になって延期されました。新たな日程は今のところ決まっていません。市場で米国と中国の対立が市場で意識されれば、リスク回避の動きが強まって円高が進む可能性があります。

※評価会合の延期について詳しくは、本日17日の『ファンダメ・ポイント』をご覧ください。

また、新型コロナウイルスの追加経済対策をめぐるトランプ政権と民主党の協議にも注目です。追加経済対策合意への期待が後退した場合、米ドルが下押すかもしれません。

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足もとのトルコリラ安の主な要因として、「外貨準備の減少によってトルコ当局はリラの買い支えが困難との観測」や「TCMB(トルコ中銀)のインフレ対策が不十分(政策金利から消費者物価上昇率を引いた「実質金利」は大幅なマイナス)との見方」などが挙げられます。先週金曜日(8/14)は市場予想以上の経常赤字もリラの下押し圧力となりました。

トルコ政府は、今のところリラ安を懸念していないようです。アルバイラク財務相は12日、リラ安について「為替レートは上がったり下がったりする」としたうえで、「重要なのは、リラの水準ではなく(リラに)競争力があるかどうかだ」と語りました。

TCMBはプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)向けに実施している政策金利(8.25%)を下回る金利での貸し付けを停止(12日から)。資金調達コストを引き上げることでリラ安に対応しています。

ただ、それだけでリラ安に歯止めをかけるのは困難とみられます。TCMBの利上げが必要と考えられますが、利上げは簡単ではないかもしれません。エルドアン大統領はかねてより低金利を志向しており、利上げに反対しているためです。

TCMBの定例会合は20日。会合に向けて市場は利上げを催促する動き(一段のリラ売り)になる可能性があります。リラ/円は過去最安値(14.193円)割れを試すかもしれません。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。


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