(AM) トルコリラが急落。リラ/円は最安値を記録

2020/08/07 09:03

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・市場では、トルコ当局はリラの買い支えが困難との観測。国営銀行は特定水準のリラ買い支えをやめたとの報道も
・トルコの実質金利はすでに大幅なマイナス。リラ安の影響によってCPI上昇率が加速し、実質金利のマイナス幅は今後拡大する可能性あり
・市場は今後、トルコ当局のリラ安への対応を試す展開になるかも

(欧米市場レビュー)

6日欧米時間の外為市場では、トルコリラが急落。対米ドルや対ユーロ、対円で最安値を更新しました(リラ/円は一時、14.253円へと下落)。トルコ当局はリラの買い支えが困難との観測やTCMB(トルコ中銀)のインフレ対策が不十分との見方、そしてリラの流動性をめぐる懸念などがリラに対する下押し圧力となりました。

英ポンドは堅調に推移。一時、英ポンド/米ドルは1.31859米ドル、英ポンド/円は139.193円へと上昇。それぞれ約5カ月ぶり、約2カ月ぶりの高値を記録しました。BOE(英中銀)は金融政策の現状維持を決定。政策金利(0.10%)と資産買い入れ枠(7450億ポンド)のいずれも据え置きました。それらは市場予想通りの結果でしたが、ベイリーBOE総裁が会見でマイナス金利の導入に否定的な発言をし、ポンドの支援材料となりました。

※BOE会合については、本日7日の『ファンダメ・ポイント』で詳しく解説しています。

カナダドルは軟調。カナダドル/円は一時、79.233円へと下落しました。トランプ米大統領が「カナダから輸入するアルミニウム製品の一部に10%の追加関税を発動する」と表明し、カナダドルの重石となりました。米国はカナダのアルミニウム製品に対する追加関税を2019年5月に解除しましたが、再び関税を発動します。カナダは米国に対して報復関税を課す方針のようです。

(本日の相場見通し)

本日(7日)、米国の7月雇用統計が発表されます(日本時間21:30)。市場予想はNFP(非農業部門雇用者数)が前月比158.0万人増、失業率が10.5%。米景気をめぐる懸念や米長期金利(10年債利回り)の低下を背景に、米ドルに対して下押し圧力が加わるなか、雇用統計が弱い結果になれば下押し圧力は一段と強まる可能性があります。

米国の新型コロナウイルス追加経済対策の与野党協議にも注目です。トランプ政権と民主党(野党)指導部は追加経済対策について1週間以上協議してきましたが、両者の主張にはなお隔たりがあるようです。トランプ政権と民主党指導部が合意する、あるいは合意に近づけば米ドルの支援材料となりそうですが、仮に協議が決裂した場合には米ドルが下押ししそうです。

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トルコリラは一段と下落する可能性があります。前述(欧米市場レビュー)の通り、「トルコ当局はリラの買い支えが困難との観測」や「TCMB(トルコ中銀)のインフレ対策が不十分(トルコの実質金利は大幅なマイナス)との見方」、そして「リラの流動性をめぐる懸念」がリラ安の要因です。

トルコ当局は国営銀行を通じてリラの買い支えを行ってきました。その結果、外貨準備が減少しており、年初に800億米ドル弱だったTCMBの外貨準備高(※)は、7月下旬には470億米ドル程度へと減少。外貨準備高の減少は、トルコ当局によるリラの買い支え余力が乏しくなることを示唆しています。6日は「トルコの国営銀行は、対米ドルで特定水準でのリラの買い支えをやめた」と報じられました。

※外貨準備・・・外貨売り/自国通貨買い(トルコの場合はリラ買い)介入の原資となる。

また、トルコの実質金利(政策金利から前年比の消費者物価指数上昇率を引いたもの)はすでに大幅なマイナス(6日時点でマイナス3.51%)。リラ安によってCPI(消費者物価指数)上昇率は今後、一段と高まる可能性があります。

市場は今後、トルコ当局のリラ安への対応を試す動き(さらなるリラ売り!?)になる可能性があります。リラ安に歯止めをかけるためには、臨時会合を含めTCMBの利上げが必要かもしれません。TCMBの次回定例会合は20日です。

※トルコリラについては、本日7日のM2TVで取り上げます。
※ トルコリラ/円のテクニカル分析については、本日の『テクニカル・ポイント』をご覧ください。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。


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