(PM) トルコリラ/円が6カ月ぶり安値。リラ安の背景

2020/02/26 15:49

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・トルコとアサド政権との緊張が高まる。市場は両国が本格的な戦争状態に陥ることを懸念
・トルコ中銀の利下げにより、実質金利はマイナス幅を拡大。投資妙味の低下を示唆
・新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避もトルコリラにとってマイナス材料

トルコリラが下落しています。リラは対米ドルで約9カ月ぶり、対円で約6カ月ぶりの安値圏にあります。

足もとのリラ安の背景として、主に以下のことが挙げられます。

<シリア情勢をめぐる懸念>
反体制派の最後の大規模な拠点であるイドリブ県(シリア北西部)でアサド政権が攻勢を強めていることで、反体制派を支援しているトルコとの緊張が高まっています。

エルドアン・トルコ大統領はアサド政権に対し、2月末までにイドリブ県に設けられたトルコの停戦監視所の外側(アサド政権側)へと撤退するように要求。撤退しない場合には軍事作戦を開始すると警告しています。市場は、両国が本格的な戦争状態に陥ることをしています。

<トルコの実質金利のマイナス幅拡大>
TCMB(トルコ中銀)は19日、0.50%の利下げを決定。政策金利を11.25%から10.75%へと引き下げました。それにより、トルコの実質金利(政策金利から前年比のCPI上昇率を引いたもの)はマイナス0.90%から1.40%へと拡大しました。実質金利のマイナス幅拡大は、トルコへの投資妙味がさらに低下することを示します。

<新型コロナウイルスの感染拡大>
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、市場ではリスク回避の動きが強まっています。リスク回避は、新興国通貨であるトルコリラにとってマイナス材料です。

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市場では、“リラを支援するためにトルコ当局は国営銀行を通じて「米ドル売り/リラ買い介入」を実施している”との観測があります。ただ、シリア情勢など多くの懸念材料が存在するなか、介入によってトルコリラの下落に歯止めをかけるのは難しいと考えられます。

トルコリラが下げ止まるために最も必要なこととして、シリア情勢をめぐる懸念が後退することが挙げられます。トルコはアサド政権の後ろ盾であるロシアと2月に入り、8日にアンカラで、16-17日にはモスクワでイドリブ県の問題について協議を行いましたが、いずれも不調に終わりました。

エルドアン大統領は25日、「ロシアの代表団と26日に協議する」と語りました。協議を受けてシリア情勢をめぐる懸念が市場で後退すれば、トルコリラは下げ止まる可能性があります。一方、今回も協議が不調に終わった場合、トルコリラに対する下押し圧力は一段と強まりそうです。米ドル/円の動向次第ですが、リラ/円17.500円(2019/5/9安値)割れを試すかもしれません。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。

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