(AM) ブレグジットと米中協議でリスクオン、ポンド急騰

2019/10/11 07:43

デイリーフラッシュ


【ポイント】
・ジョンソン英首相とアイルランド首相が「離脱合意に道筋」
・米中貿易協議が部分的合意に前進
・対中関税引き上げは見送られるか
・英議会はジョンソン首相不信任も

(欧米市場レビュー)

 10日欧米時間の外為市場では、が全面安、米ドルも軟調でした。米株が上昇して米長期金利(10年物国債利回り)も上昇、典型的なリスクオンの地合いでした。

 10日に始まった米中閣僚級貿易協議で合意に向けて進展がみられた模様で、15日の対中国関税引き上げが見送られるとの期待が高まりました。

 ポンドが急騰。ジョンソン英首相がバラッカー・アイルランド首相と会談し、「(離脱協定の)合意への道筋が見込めるとの点で一致した」との声明が発表されました。来週17-18日のEUサミット、あるいは31日の期日に向けて「合意ある離脱」への期待が浮上してきました。

 リスクオンの地合いのなかで、南アランドメキシコペソ豪ドルなどの資源・新興国通貨は総じて堅調でした。トルコリラも底堅く推移。トランプ大統領が、トルコとクルド人勢力の仲介をするアイデアを浮上させ、米国とトルコの緊張緩和の観測につながったようです。

(来週の相場見通し)

 来週は、相場材料が目白押しです。対中関税引き上げ英議会召集IMF・世銀総会開幕(いずれも15日)、EUサミット(17-18日)、英離脱延期法の合意期限(19日)など。米小売売上高やベージュブック(いずれも16日)、豪雇用統計(17日)、中国GDP(18日)など経済指標も発表されます。

 米中貿易協議やブレグジットに関して明るさも見えてきましたが、予断は禁物でしょう。

 米中貿易協議は「通貨協定」も含めて部分的合意に至れば、市場は好感しそうです。ネガティブな報道が多かったことで市場の期待値が下がっているためです。一方で、過去には土壇場で米中が物別れに終わるケースも目立ちました。目先のポイントは、15日の米国の対中関税の引き上げが見送られるかどうかでしょう。

 ブレグジットに関して、ジョンソン首相とバラッカー首相の会談で「合意の道筋が見込める」とされました。ただし、具体的なバックストップ案があるのか、英国とEUの協議が前進するのかは不透明です。さらに、15日に召集される英議会がジョンソン首相に不信任を突き付ける可能性があり、そうすれば総選挙に向けて政局は流動化します。

 英国とEUが合意できなければ、19日に英離脱延期法に基づいてジョンソン首相がEUに離脱延期を要請する必要があります。しかし、ジョンソン首相が要請するか、EUがそれを承認するか(全加盟国の承認が必要)、予断を許しません。

 トランプ大統領の弾劾調査について、決定的ではないまでも新事実が次々と報道されています。来週も新たな展開があるかもしれません。緊迫するトルコ・シリア情勢も、トランプ政権の対応が揺れていることもあり、気になるところです。一連の米経済指標を受けて、29-30日のFOMCでの利下げ期待が一段と高まるか、株価の反応と合わせて要注目でしょう。



執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。」