(AM) 米中閣僚級貿易協議に要注目

2019/10/07 08:05

デイリーフラッシュ


【ポイント】
・先週は米経済指標が弱く、米ドルが軟調
・米中貿易協議の行方に注目
・ブレグジットに関して新たな動きがあるかも

(先週のレビュー)

 先週の外為市場では、米ドルが全般に軟調に推移。米ドル/円は一時106.481円へと下落しました。米国の9月ISM製造業景況指数(10/1発表)は47.8と、2カ月連続で製造業の拡大/縮小の分かれ目である“50”を下回り、2009年6月以来の低水準を記録。ISM非製造業景況指数(3日発表)は50を上回りましたが、2016年8月以来の低水準でした。

 また、4日に発表された米雇用統計は強弱マチマチの内容。NFP(非農業部門雇用者数)は前月比13.6万人増加とやや弱めでした。時間当たり賃金は前年比2.9%増で、昨年7月以来の低い伸びにとどまりました。ただ、失業率は0.2%低下して3.5%となり、約50年ぶりの低水準となりました。

 がほぼ全面高の展開となり、ユーロメキシコペソ南アランドNZドルなども対米ドルで上昇。英ポンドはブレグジットを巡ってやや振れの大きい展開でした。原油価格が下落したことでカナダドルは軟調。インフレ率が大きく鈍化して利下げ観測が強まったことでトルコリラも軟調でした。

(今週の相場見通し)

 米国だけでなく、中国、日本、ユーロ圏、英国など主要国でも今春以降に製造業の縮小が続いており、世界的な景気減速が鮮明となっています。

 米国の対中関税第4弾が9月に発動され、また第1-3弾の税率が10月15日に25%→30%に引き上げられるなど、米中貿易摩擦の影響はこれからも強まるでしょう。10-11日の米中閣僚級貿易協議(ワシントン)は非常に注目されます。ただ、Bloombergによれば、中国は貿易協議での議論の範囲を狭める意向とのことです。米国が求めている中国の産業政策や政府補助金の改革は議論の対象としない模様です。米中貿易協議が不調に終われば、米ドル/円や豪ドル/円、NZドル/円などに下落圧力が加わりそうです。

 また、米国はエアバスへの補助金への対抗措置として対EU報復関税を10月18日に発動します。対象は年間で最大75億ドルと、年間5,000億ドルを超える対中関税に比べれば微々たるものですが、すでにリセッション(景気後退)入りしている可能性の高いドイツなど欧州各国にとっては打撃となりそうです。EUも対米報復関税を発動する模様。さらに、11月には米国が自動車関税の判断を下す見込みです。

 米下院でのトランプ大統領の弾劾調査の行方も気になるところです。いくつかの新事実が出てきており、弾劾開始に向けた動きが強まるようなら、トランプ大統領の(中国などとの)交渉力の低下や、逆に対外強硬姿勢の強まり、議会の法案審議の遅れなどを通して米ドルのマイナス材料になるかもしれません。

 英国では、ジョンソン首相が8-14日に議会を停止します。議会が成立させた離脱延期法(19日までに合意がなければ首相が離脱延期をEUに要請するというもの)を回避するため最高裁の判断を求める意向との報道もあります。引き続き様々なシナリオがありえる状況ですが、ブレグジットはいったんの大詰めを迎えつつあり、目が離せません。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。」