(PM) トルコ大統領の利下げ圧力は続く!?

2019/09/13 14:59

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・エルドアン大統領は「政策金利が下がれば、インフレ率は下がる」と主張
・大幅な利下げ後にCPI上昇率が大きく鈍化すれば、エルドアン大統領は自らの考えに一段と自信を持つ可能性も
・CPI上昇率の鈍化が止まる場合、TCMB(トルコ中銀)は大統領の圧力をはねのけることができるか

TCMB(トルコ中銀)は昨日(12日)、3.25%の利下げを決定。政策金利を19.75%から16.50%に引き下げました。利下げは2会合連続で、利下げ幅は合計7.50%に達しました。

声明では、「年末時点のインフレ率は、7月のインフレ報告で示した見通し(+13.9%)を若干下回る可能性がある」と指摘。「現時点で現在の金融政策スタンスは、予想されるディスインフレの道筋とおおむね整合性が取れている」との見方を示し、利下げペースは今後鈍化する可能性を示しました。

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TCMBが大幅な利下げを決定したにもかかわらず、トルコリラは上昇しました。声明で先行きの利下げペース鈍化が示唆されたためと考えられます。

一方で、エルドアン大統領がTCMBに対する利下げ圧力を弱める可能性は低いとみられます

エルドアン大統領は“高金利の敵”を自称し、「(政策)金利が下がればインフレ率は下がる」と主張。TCMBに対して利下げ圧力を加え続け、それに従わないチェティンカヤ前総裁を7月に解任しました。

トルコの8月CPI上昇率は前年比+15.01%。昨年(2018年)9月と10月の上昇率はそれぞれ+24.52%、+25.24%と極めて高水準でした。そのベース効果によって、今年9月と10月の上昇率は大幅に鈍化するとみられ、市場では一桁になるとの観測もあります。

大幅な利下げ(7月と9月で合計7.50%)を行った後にCPI上昇率が大きく鈍化すれば、エルドアン大統領は自身の考え(金利が下がればインフレ率は下がる)に一段と自信を持つと考えられます。エルドアン大統領は9月8日に、「政策金利は近く一桁に下がる」と述べており、早急にTCMBに政策金利を一桁まで下げさせようとするとみられます。

CPI上昇率の鈍化傾向が続くうちは、TCMBが利下げを進めたとしても、トルコリラにとってそれほどマイナス材料にはならないかもしれません。ただ、今後、CPI上昇率の鈍化が止まる、あるいは再び上昇率が高まる場合、TCMBがそれに対応(政策金利を据え置く、あるいは利上げ)できるのか疑問が残ります。いずれTCMBの独立性をめぐる懸念が再燃する可能性があります。


(出所:リフィニティブより作成)

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。