(AM) 「合意なき離脱」は阻止できるか

2019/09/10 08:03

デイリーフラッシュ


【ポイント】
・英国の「合意なき離脱」の可能性は低下したものの、引き続き要注意
・米国による対トルコ制裁の可能性がリラの重石

(欧米市場レビュー)

 9日欧米時間の外為市場では、米ドルスイスフランといったリスクオフで買われる通貨が弱含み。ポンドユーロ豪ドルなどが堅調でした。ムニューシン米財務長官が、「(米中貿易協議は)大きく前進した」と語ったことが材料視されました。また、英国でEU離脱延期法が成立したことや、英国の月次GDPや鉱工業生産など7月の経済指標が市場予想を上回ったことが、ポンドのプラス材料となりました。ただし、ブレグジットに関して、依然として10月31日の合意なき離脱の可能性も残されており、今後の動向が注目されます(後述)。

 資源・新興国通貨は総じて堅調でしたが、トルコリラは軟調。ロシア製ミサイルの購入に関して、ムニューシン米財務長官が「(対トルコ制裁を)検討中だ」と述べたことが材料視されました。

(本日の相場見通し)

 本日は大きなイベントは予定されていません。引き続き、米中貿易協議やブレグジットに関するニュースが相場材料となるかもしれません。

 9日、EU離脱延期法がエリザベス女王の裁可を得て正式に成立しました。これにより、10月19日までにEUとの協定案で合意できなければ、ジョンソン首相は離脱日の延期を要請することが義務付けられました。EUがこれを認めれば離脱日は来年1月31日に延期されます。

 ジョンソン首相は10月15日に総選挙を行う動議を議会に再提出しましたが、下院の3分の2の賛成が必要なためこれが可決される見込みはほとんどありません。ジョンソン首相に残された手段は、EUに対して延期を承認しないよう働きかけることぐらいのようです。ただし、解決の糸口が見いだせないため、フランスなどは単に延期を繰り返すことに批判的です。EUの全加盟国が承認しない限り離脱日は延期されません。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。」