(PM) メキシコペソ/円:レンジ内の動き

2019/07/25 14:39

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・米国の対メキシコ関税の行方。中間評価で前向きな評価が下されれば、メキシコペソのプラス材料になりそう
・一方で、BOM(メキシコ中銀)は今後利下げする可能性あり。いずれペソに下押し圧力が加わる可能性も
・ペソ/円は“5.500~5.700円”のレンジで推移。レンジを抜けるには強い材料が必要か

米国は6月7日、メキシコと不法移民対策で合意し、対メキシコ関税の発動を“期限を設けずに延期”しました。

その時の合意では、「45日間経過後に、米国はメキシコの不法移民対策の中間評価を行う」とされており、今週月曜日(7/22)が合意から45日後でした。中間評価の結果は今後明らかになるとみられますが、以下のことから前向きな評価が下されそうです。

ポンペオ米国務長官は7月21日に不法移民対策について「著しい進展があった」との見方を示し、トランプ米大統領は24日に「メキシコとの国境における移民の拘束は、はるかに少なくなった」と語りました。なお、エブラルド・メキシコ外相は7月22日、「メキシコ経由で米国に入国した不法移民は直近の45日間で36%減少した」と発表しました。

6月7日の合意では、「米国は、合意から90日間で関税を発動するかどうかの結論を出す」としています。米国が対メキシコ関税を発動する可能性は残っているものの、中間評価で前向きな評価が下されれば、メキシコペソにとってプラス材料になりそうです。

一方で、BOM(メキシコ中銀)が今後利下げを行う可能性があります。いずれメキシコペソに下押し圧力が加わるかもしれません。

BOMは6月27日の会合で政策金利を8.25%に据え置いたものの、BOMが利下げへと傾きつつあることが示唆されました。会合では、5人の政策メンバーのうち、1人が0.25%の利下げを主張。別の1人は据え置きに賛成しつつも「インフレ率の鈍化が続けば比較的早期に利下げを行う必要がある」との見方を示しました。

市場では、BOMが9月にも利下げを行うとの観測があります。昨日(24日)発表されたメキシコの7月前半のCPI(消費者物価指数)は、その観測を補強する内容でした。結果は総合指数が前年比+3.84%、コア指数は同+3.81%と、いずれも6月前半の+4.00%、+3.87%から上昇率が鈍化。BOMのインフレ目標(+3%。2~4%が許容レンジ)の上限から若干遠ざかりました。

4-6月期のGDP速報値が7月31日に発表されます。メキシコ経済は1-3月期にマイナス成長(前期比0.2%減)を記録し、市場では4-6月期もマイナス成長との見方もあります。メキシコ景気の落ち込みが改めて確認された場合、9月の利下げ観測が一段と高まるだけでなく、8月15日の次回会合での利下げ観測が浮上する可能性もあります。

日足チャートをみると、メキシコペソ/円は約2カ月にわたり、おおむね5.5000~5.7000円のレンジで上下動を繰り返しています。そのため、レンジの下限に近づく場面では“押し目買い”が出やすく、上限に近づく場面では“売り圧力”が強まりやすいとみられます。

レンジの上下いずれかを抜けるためには、強い材料(BOMの利下げが現実味を帯びるなど)が必要と考えられます。“もみ合いの期間”が長くなっているだけに、レンジを抜けた場合、その方向に勢いが加速する可能性はあります。5.451円(6/4安値)を下回る、あるいは5.830円(5/22高値)を上回った場合に要注意です。

メキシコペソ/円(日足。2019/3/22~)

(出所:マネースクエアFXチャート)

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。