(PM)カナダ中銀:政策金利の当面据え置きを示唆

2019/07/11 14:58

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・BOC(カナダ中銀)は「緩和の度合いは適切」との見方を維持
・BOC総裁は「本日(7/10)の政策金利設定に満足」と発言
・一方で米中貿易摩擦の影響に対する懸念を強めているもよう
・金融緩和の可能性が高いFRBやECBにBOCは追随せず。カナダドルの支援材料になりそう

BOCは10日、政策金利を1.75%に据え置くことを決定。据え置きは6会合連続です。

BOCは「天候要因の解消や原油の輸出増など一時的な要因によって、カナダの4-6月期の成長率は従来の見通しを上回る」と分析。4-6月期のGDP成長率見通しを4月時点の前期比年率+1.3%から+2.3%へ上方修正し、2019年(年間)の見通しも+1.2%から+1.3%へと引き上げました。

一方で、2019年の世界のGDP成長率見通しを従来の+3.2%から+3.0%へ、2020年の見通しを+3.3%から3.2%へと下方修正しました。

BOCは「最近の経済指標は、カナダ経済が予想通り潜在成長率へと回復していることを示す」としながらも、「見通しは持続的な貿易をめぐる緊張によって曇っている」と指摘。「現在の政策金利によって実現されている緩和の度合いは依然として適切」との見方を示しました。

***

BOCは「緩和の度合いは適切」との見方を維持し、またポロズBOC総裁は会合後の会見で「逆風が強まるか弱まるまでは、本日(7/10)の政策金利設定に満足している」と語り、政策金利を当面据え置くことを示唆しました。

一方で米中貿易摩擦の影響に対する懸念を強めているようです。声明は「貿易摩擦の激化は世界やカナダの見通しにとって最大の下方リスクだ」と指摘したほか、持続的な貿易をめぐる緊張が見通しを曇らせているとしました。

ただ、BOCが近い将来に利下げ方向に舵を切る可能性は低いとみられます。米国やユーロ圏とは異なり、カナダのインフレ率は中銀の目標中央値近辺で推移しています。カナダの5月総合CPI(消費者物価指数)は前年比+2.4%、BOCが総合指数以上に重視する3つのコアインフレ指標は共通値が+1.8%、トリム値が+2.3%、中央値が+2.1%。BOCのインフレ目標は+2%です。


(出所:リフィニティブより作成)

BOCの声明を受けて、カナダドルがいったん下落しました。貿易摩擦の影響が強調されたことで市場はBOCの声明の内容をハト派的と判断したようです。

ただ、金融緩和の可能性が高いFRB(米連邦準備理事会)やECB(欧州中銀)に追随することなく、BOCは政策金利を当面据え置くことを示唆しました。こうした金融政策の方向性の違いは引き続き、カナダドルの支援材料になるとみられます。米ドル/円が大幅に下落しなければ、カナダドル/円84.360円(4/17高値)に接近する可能性があります。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。