(PM)トルコリラ:懸念材料多い!?

2019/07/10 15:15

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・7月25日、TCMB(トルコ中銀)の政策会合
・TCMBは独立性をめぐる懸念を払しょくし、かつ大統領が納得する政策決定を下せるか
・S-400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)をめぐる米国の対応

トルコ政府は6日、チェティンカヤTCMB(トルコ中銀)総裁を突然解任。ウイサル副総裁が総裁に昇格すると発表しました。

エルドアン大統領は9日、総裁解任について「チェティンカヤ氏の個人的な決定や行動によってトルコは重い代償を支払わされた」と説明。そのうえで、「彼の決定は耐え難いものになりつつあった。われわれは状況を評価し、交代が必要だと判断した」と語りました。

エルドアン大統領はかねてより、「(政策)金利が下がればインフレは下がる」と主張し、TCMBに対して公然と利下げを要求。一方、TCMBは2018年9月に利上げ(6.25%幅)して以降、政策金利24.00%に据え置いています。チェティンカヤ氏が解任されたのは利下げをしなかったためと考えられます。

TCMBは7月25日に政策会合を開きます。トルコのCPI(消費者物価指数)上昇率は2018年10月に前年比+25.24%に達しましたが、その後は鈍化傾向にあり、今年6月は+15.72%でした。そのため、TCMBは利下げを行ってもおかしくない状況です。

ただ、ウイサル新総裁は難しい立場と言えそうです。25日の会合で大幅な利下げを決定すれば、市場では中銀の独立性をめぐる懸念が一段と高まるおそれがあります。一方で政策金利を据え置けば(あるいは小幅な利下げの場合も)、エルドアン大統領は金融政策への介入をさらに強める可能性があります。ウイサル総裁はTCMBの独立性をめぐる懸念を払しょくし、かつエルドアン大統領が納得する決定を下す必要があると考えられます。

トルコリラはS-400(ロシア製地対空ミサイルシステム)の問題も抱えています。S-400が今週中にトルコに納入される予定。米国はトルコに対してS-400の導入を進めれば、制裁を科すと警告しています。

トルコがキプロス沖で天然ガス採掘作業を行う可能性があることも、トルコリラの懸念材料です。トルコの石油・ガス採掘船が8日、キプロス北東部沖に錨を下ろしました。EUは6月にトルコに対して天然ガスの採掘活動を行えば何らかの措置を講じると警告しており、昨日(7/9)には米国務省が採掘活動の中止をトルコに要請しました。トルコの対応次第ではEUや米国との関係が悪化するおそれがあり、その場合にはトルコリラに下落圧力が加わる可能性があります。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。