(AM)トルコ大統領が中銀総裁を解任。リラに下落圧力か

2019/07/08 08:04

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・トルコ大統領はTCMB(トルコ中銀)に対して利下げを要求
・一方でTCMBは2018年9月以降、政策金利を維持
・TCMB総裁の解任によって中銀の独立性をめぐる懸念が再燃しそう

(欧米市場レビュー)

5日欧米時間の外国為替市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は108.596円へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.12063米ドル、豪ドル/米ドルは0.69575米ドル、NZドル/米ドルは0.66031米ドルへと下落しました。米国の6月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比22.4万人増と、市場予想の16.0万人増を上回ったことで、FRB(米連邦準備理事会)の利下げ観測が後退し、米ドルの支援材料となりました。

(本日の相場見通し)

エルドアン・トルコ大統領は6日(土)、TCMB(トルコ中銀)のチェティンカヤ総裁を解任。ウイサル副総裁が総裁に昇格しました。

報道によれば、エルドアン大統領とアルバイラク財務相がチェティンカヤ氏に辞任するように求めたものの、中銀の独立性を理由にチェティンカヤ氏が拒否したため、解任へと踏み切ったようです。

解任の理由は示されませんでしたが、TCMBが利下げをしないことが理由と考えられます。

トルコのCPI(消費者物価指数)は2018年10月に前年比25.24%に達したものの、その後は鈍化傾向にあり、2019年6月の上昇率は+18.71%でした。ただ、TCMBのインフレ目標である+5%を依然として大きく上回っており、TCMBは2018年9月に政策金利を24.00%に引き上げて以降、その水準を維持してきました。

一方、エルドアン大統領は“(高)金利の敵”と自称。政策金利が下がればインフレ率(CPI上昇率)は下がると主張し、TCMBに対して利下げするように圧力を加えてきました。

先週(7/1の週)のトルコリラは堅調に推移しました。エルドアン・トルコ大統領が6月29日に“米国はトルコに対して制裁を科さない”との見方を示したことや、トルコの6月CPI上昇率が鈍化したためです。

TCMBは7月6日の声明で「ウイサル新総裁は責務である物価安定の達成と維持に焦点を当てる」としたうえで、「引き続き金融政策手段を独立して実行していく」と表明しました。

ただ、エルドアン大統領がチェティンカヤ氏を解任したことで、市場では“TCMBが政府から独立して金融政策を実行できるのか?”との懸念が再燃しそうです。また、TCMBがインフレの抑制よりも景気支援を重視し、急速に利下げを行うとの観測が浮上する可能性もあります。トルコリラには下落圧力が加わりやすいとみられます。なお、TCMBの次回政策会合は7月25日に開催されます。

その他、S-400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)が今週中にトルコに納入される予定です。米国の対応(対トルコ制裁に動くなど)次第では、トルコリラ売りが加速する可能性もあります。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。