(PM)トルコリラ:対円で2カ月半ぶりの高値を記録。米制裁の行方に注意は必要

2019/07/05 14:40

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・米国の対トルコ制裁の行方
・トルコ大統領は制裁を回避できるとの見方
・一方、米政府高官は米国の方針に変化はないと強調
・米国が制裁へと動けば、トルコリラには下落圧力が加わりそう

トルコリラは昨日(4日)、対米ドルで約3カ月ぶり、対円で約2カ月半ぶりの高値を記録しました。

今週のトルコリラ上昇の背景として、以下のことが挙げられます。
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(1)米国による対トルコ制裁への懸念が後退
エルドアン・トルコ大統領は6月29日、「トランプ大統領から(トルコに対する)制裁はないと直接聞いた」と述べました。

(2)トルコのインフレ率の鈍化
6月のCPI(消費者物価指数)上昇率(7/3発表)は前年比+15.72%と、5月の+18.71%から大きく鈍化しました。その結果を受けて、市場ではTCMB(トルコ中銀)が7月25日の次回会合で利下げを行うとの観測が高まりました。そのことはトルコリラにとってマイナス材料です。一方でトルコが抱える問題のひとつに高インフレがあります。そのため、CPI上昇率が鈍化することは、トルコリラにとってプラス材料でもあります。市場では今回、後者の方が強く意識されたようです。
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S-400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)が7月10日までにトルコに納入される予定です。エルドアン大統領の発言(*前述)を受けて、市場では米国による対トルコ制裁は発動されないとの観測もあります。

ただ、米国務省や国防総省の報道官は7月3日、米国の方針は変わっていないと強調。“S-400の導入を進めれば、トルコをF35(戦闘機)関連プログラムから排除して制裁も科す”と改めて警告しました。

S-400が実際にトルコへ納入された場合、米国がどのように対応するのか注目です。市場で対トルコ制裁について楽観的な見方があるだけに、仮に米国が制裁へと動けばその衝撃は大きくなりそうです。トルコリラには下落圧力が加わるとみられます。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。