(AM)トルコリラの上昇は長続きしない可能性も・・・

2019/06/24 08:41

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・イスタンブール市長選のやり直し選挙(23日実施)は、野党候補が勝利
・エルドアン大統領は野党候補の勝利を受け入れる
・市場は米国とトルコの関係悪化の方を懸念
・米トルコ両首脳は、G20大阪サミット(6/28-29)に合わせて会談する予定

(欧米市場レビュー)

21日欧米時間の外国為替市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は107.244円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.13739米ドル、豪ドル/米ドルは0.69300米ドル、NZドル/米ドルは0.65879米ドルへと上昇しました。米国の6月マークイット製造業PMI(購買担当者景気指数)が50.1と、約10年ぶりの低水準を記録。また、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁(*今年のFOMCにおける投票権なし)が「FRB(米連邦準備理事会)は0.50%の利下げが必要」との見方を示しました。それらを受けて、FRBの利下げ観測が一段と高まり、米ドルの重石となりました。

(本日の相場見通し)

トルコのイスタンブール市長選のやり直し選挙が昨日(23日)に行われました。国営アナトリア通信によると、開票率99.4%の時点の得票率は、野党CHP(共和人民党)のイマモール氏が54%、与党AKP(公正発展党)のユルドゥルム元首相が45%。イマモール氏が再び勝利しました。

やり直し選挙前には、“イマモール氏が勝利した場合、エルドアン大統領がそれを受け入れるのか?”が注目されていましたが、エルドアン大統領はイマモール氏の勝利を祝福したようです。

イマモール氏が再び勝利し、エルドアン大統領がそれを受け入れたことで、トルコの民主主義をめぐる懸念や政治の不透明感が後退し、トルコリラが本日(24日)朝に上昇しました。

ただし、トルコリラの上昇は長続きしない可能性があります。市場は、米国とトルコの関係悪化の方を懸念しているためです。トルコは7月前半にもS-400(ロシア製のミサイルシステム)を導入する計画。それに対して米国は、“計画を撤回しなければ、F35関連計画から排除する”と通告し、それに加えて“制裁も科す”と警告しています。一方、エルドアン大統領は6月20日に「米国が制裁を科せば報復する」と明言しており、計画を撤回するつもりはないようです。トランプ米大統領とエルドアン大統領は、G20大阪サミット(6/28-29)に合わせて首脳会談を行う予定です。そこで両国の対立が浮き彫りとなり、米国の対トルコ制裁が現実味を帯びた場合、トルコリラに対して下落圧力が加わる可能性があり、要注意です。

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今週は、28-29日のG20大阪サミットに合わせて米中首脳会談が行われます。それに先立ち、両国の閣僚級による通商協議も行われる予定です(25日に開始?)。米中の通商協議や首脳会談に関する報道が出てくることが考えられ、それに外為市場が反応する可能性があります。両国の貿易摩擦解消への期待が高まれば、リスク回避の動きが後退し、円安が進行する可能性もあります。

米国とイランの関係についての報道には注意が必要です。トランプ米大統領は22日、「イランに対する追加制裁を24日に発動する」と表明する一方、イランとの交渉に前向きな姿勢を示しました。米国とイランの緊張が緩和へと向かえば、リスク回避の動きが後退する要因となり得ます。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。