(PM)メキシコペソ:プラスとマイナスの双方の材料が混在

2019/06/17 13:00

デイリーフラッシュ

【ポイント】
<マイナス材料>
・米国の対メキシコ関税発動の可能性は残存
・メキシコやペメックス(国営石油会社)の格下げ
<プラス材料>
・メキシコ中銀副総裁が利下げを否定


米国は7日、不法移民対策でメキシコと合意したとして、10日に予定していた対メキシコ関税の発動を見送りました。

ただ、エブラルド・メキシコ外相は10日、メキシコの不法移民対策の中間評価を45日後に行うことを明らかにしました。中間評価で米国が不十分と判断すれば、メキシコは追加対策を実施し、90日以内に米国が関税を発動するかどうかを含めて判断を下すようです。

米国がメキシコに対して関税を発動する可能性は残存しており、そのことはメキシコペソの上値を抑える要因と考えられます。

メキシコやペメックス(メキシコの国営石油会社)の格下げもメキシコペソにとってマイナス材料です。格付け会社のフィッチは5日、メキシコの格付けを「BBBプラス」から「BBB(ジャンクから2つ上の水準)」へと1段階引き下げ、ムーディーズも同日、メキシコの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に下方修正。フィッチはまた、6日にペメックスの格付けを「BBBマイナス(投資適格級最低)」から「BBプラス(ジャンク)」へと1段階引き下げました。

一方で、メキシコペソにとってプラス材料もあります。ヒースBOM(メキシコ中銀)副総裁は12日、「米国による対メキシコ関税の脅威が存在するなか、(BOMは)緩和サイクルを開始することはできない」と強調、「現在の8.25%の政策金利は必要だ」と語りました。

主要国中銀をみると、RBNZ(NZ中銀)は5月、RBA(豪中銀)は6月に利下げを行い、FRB(米連邦準備理事会)も利下げ方向に傾きつつあるとみられます。そのなかで、BOM副総裁が利下げを否定したことは、メキシコペソを下支えすると考えられます。

以上のように、足もとのメキシコペソはプラスとマイナス双方の材料が混在しており、一方向には動きにくい地合いと考えられます。メキシコペソ/円に方向感が生まれるためには、米ドル/円が大きく変動する必要があるかもしれません。

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランドを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。