(AM)貿易摩擦の拡大が懸念され、リスクオフを意識する相場展開が続きそう

2019/05/30 08:06

デイリーフラッシュ


【ポイント】

・NYダウは一時25,000ドル割れ。米長期金利は1年8カ月ぶりの低水準で、短期金利との逆転が拡大。オセアニアの長期金利は過去最低を記録
・中国はレアアースを交渉材料とすることを示唆、対米の強気姿勢を崩さず
・世界経済の先行きに対する懸念が一段と強まる可能性に要注意

(欧米市場レビュー)

 29日欧米時間の外国為替市場では、米ドルが円を含む主要通貨に対して堅調。米ドル指数(実効レート)は4月下旬と1週間前につけた年初来高値近くまで上昇しました。

 ユーロはイタリアの財政問題が重石。欧州委員会はイタリア政府に対して、財政規律違反是正手続き(EDP)を開始することを確認しました。ドイツとイタリアの長期金利差(独<伊)は年初来最大となっています。

 英ポンドはブレグジットの不透明感が引き続き弱気材料となりました。アイルランドのバラッカー首相が10月末のブレグジット期日が再延期される可能性に言及しました。

 カナダドルは軟調でした。BOC(カナダ中銀)は会合で政策金利を据え置きました。声明では、現在の金融緩和が適切であるとしつつ、景気下振れリスクの増大に言及しました。OIS(翌日物金利スワップ)によれば、市場は年内の利下げを4割弱の確率で織り込んでいます(利上げはゼロ%)。WTI原油先物価格は一時2カ月半ぶりの58ドル割れとなりました。

 豪ドルNZドルも軟調。米中貿易摩擦に対する懸念から、両国の長期金利は過去最低を記録しました。

 NYダウが一時2月上旬以来となる25,000ドル割れ、米長期金利が1年8カ月ぶりの2.20%に迫るなど、市場のリスクオフが強まるなか、南アフリカランドトルコリラメキシコペソの新興国通貨は比較的堅調でした。トルコリラは引き続き当局のリラ防衛策が効いているのかもしれません。その他の通貨には大きな材料はなく、前日までの軟調の反動とみなせそうです。

(本日の相場見通し)

 本日は、アジア時間、欧米時間ともに大きなイベントや経済指標の発表は予定されていません。まずは欧米株安を受けた日本株の動きに要注意でしょう。日経平均は2月中旬以降、21,000円がサポートとなってきました(5/29終値は21,003.37円)。これを大きく下回るようであれば、年初以来となる20,000円割れが視野に入るかもしれません。

 28日に公表された米財務省の半期為替報告書では、中国を為替操作国と認定しませんでした。ただ、公表された基準に照らせば、為替操作国と認定することは元々無理筋でした。ただし、米政府は日本や中国を引き続き為替監視の対象とし、貿易交渉で圧力を強める方向です。一方、中国は、IT製品に不可欠なレアアース(希土類)の輸出規制を貿易協議の交渉カードに使うことを示唆するなど、強気の対決姿勢を崩していません。

 足もとで主要国の長期金利は大きく低下しています。オセアニアでは長期金利が過去最低を記録。米国では1年8カ月ぶりの低水準となっており、短期金利(3カ月物財務省証券利回り)との逆転が拡大しています。貿易摩擦が際限なく拡大する可能性も否定できず、世界経済の先行きに対する懸念は一段と強まりかねません。市場のリスクオフが意識される相場状況が続きそうです。