(AM) 欧州発のリスクオフが米国に波及

2021/01/28 08:30

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・ワクチン普及に関する懸念で欧州株が大幅安
・米株は独自要因でも下落圧力
・FOMCでは、パウエル議長が緩和長期化へのコミットを念押し

(欧米市場レビュー)

27日の欧米為替市場では、概ねリスクオフの展開でした。ロナのワクチン普及に関する懸念(後述)から欧州株(ユーロSTOXX50)が5週間ぶりの安値をつけました。米株は大きく値を下げて始まり、いったん小反発したものの、再び下落。NYダウは前日終値比634ドル安で引けました。

米FOMCでは金融政策の現状維持が決定され、会見でパウエル議長が金融緩和の長期化へのコミットを再確認しました。しかし、米市場独自の要因(後述)もあって米株安の基調はほとんど変化しませんでした。

※FOMCの結果については、ファンダメポイント「米FOMC、パウエル議長は金融緩和の長期化を念押し」をご覧ください。

為替市場では、リスクオフを受けて、米ドルが上昇。通貨の序列(強⇒弱)は、「米ドル>ユーロ>英ポンド>円>トルコリラ>カナダドル>NZドル=豪ドル>南アランド>メキシコペソ」でした。

(本日の相場見通し)

本日は昨年10-12月期の米GDPに注目です(日本時間22:30発表)。7-9月期は前期比年率33.4%と、4-6月期の同マイナス31.4%から大幅に反発しました。10-12月期の市場予想は同4.2%と成長率の鈍化が見込まれています。アトランタ連銀の短期予測モデルGDPNowでは27日時点で同7.2%です。

小売売上高が12月まで3カ月連続で前月比マイナス、雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)が12月に8カ月ぶりの前月比マイナスとなるなど、景気減速の兆候が目立っています。市場の関心は年明け後の景気がどうなるかに移っていそうですが、10-12月期の結果次第では見通しの修正を迫られるかもしれません。また、バイデン政権が目指す大型経済対策の行方にも影響を与えるかもしれません。

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EUと英アストラゼネカ社との間で、ワクチン供給を巡って対立が起きています。欧州での生産に一部不都合があったことで、アストラゼネカ社は優先して英国にワクチンを供給しており、EUが契約違反を訴えていいます。

欧州におけるワクチン普及が一段と遅れる可能性があり、今後もリスクオフ要因となるかもしれません。始まったばかりの英国とEUとの新しい関係にも悪影響を及ぼしかねません。

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米市場では、機関投資家が空売りしている個別銘柄に対して、個人投資家が大挙して買い向かったことでそれらの株価が高騰しています。代表的なゲームストップ(ゲーム販売会社)の株価は昨年の高値が22ドルでしたが、今年に入って急騰。27日には一時380ドルをつけました。

そして、巨額の損失を被った機関投資家による保有株の売却(あるいはその観測)が市場全体に下落圧力を加えています。27日のVIX指数は37.21に上昇。これは大統領選挙の不透明感が強かった昨年11月初め以降の高水準です。

株式市場独自の要因とはいえ、リスクオフが強まれば金利や為替相場にも影響しそうです。

執筆者プロフィール
西田 明弘(にしだ あきひろ)
チーフエコノミスト
日興リサーチセンター、米ブルッキングス研究所、三菱UFJモルガンスタンレー証券などを経て、2012年マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。
米国を中心とした各国のマクロ経済・金融政策・政治動向の分析に携わる。
「アナリスト、ストラテジスト、エコノミスト、研究員と呼び名は変われども、30年以上一貫してリサーチ業務を行ってきました。長い経験を通じて学んだことは、金融市場では何が起きても不思議ではないということ。その経験を少しでも皆さんと共有したいと思います。


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