(PM) トルコリラ:実質金利はマイナス、リビア情勢にも注意!?

2020/01/17 14:38

デイリーフラッシュ

【ポイント】
・TCMBの政策金利はCPI上昇率を下回り、トルコの実質金利はマイナスに
・マイナスの実質金利が市場で意識されれば、リラは軟調に推移しそう
・トルコはリビア内戦に関与しており、19日の国際会議の結果にリラが反応する可能性も

TCMB(トルコ中銀)は16日、0.75%の利下げを決定。政策金利を12.00%から11.25%へ引き下げました。利下げは5会合連続です。

声明は、「インフレ見通しは引き続き改善しており、インフレ期待は広範に低下し続けている」と指摘。「インフレの道筋は(TCMBの)見通しとおおむね一致している」との見方を示したうえで、「インフレ見通しに影響を与えるすべての要因を考慮し、TCMBは抑制された利下げを決定した」と説明。「現時点で、現在の金融政策スタンスは予想されるインフレの道筋から逸脱していない」としました。

トルコの2019年12月CPI(消費者物価指数)は前年比+11.84%。今回の利下げによってトルコの実質金利(政策金利から前年比のCPI上昇率を引いたもの)はマイナスとなりました(11.25%-11.84%=マイナス0.59%)。CPI上昇率は12月まで2カ月連続で加速しました。前年比の水準が高いことによるベース効果が一段と剥落するにつれて、上昇率は引き続き高止まりするとみられ、あるいはさらに加速するかもしれません。トルコの実質金利は今後、マイナス幅が拡大する可能性があります。

トルコの実質金利がプラスからマイナスに転落したにも関わらず、TCMBの政策金利発表後にトルコリラは上昇しました。ただ、トルコの実質金利がマイナスとなったことは本来、リラ安要因と考えられます。今後、市場でそのことが意識されれば、リラは軟調に推移するとみられます。なお、メキシコの実質金利は+4.42%、南アフリカの実質金利は16日のSARB(南アフリカ中銀)の利下げ後も+2.65%です。

***

19日にベルリンでリビア問題に関する国際会議が行われる予定です。リビアでは西部の暫定政権と東部のLNA(リビア国民軍)の内戦状態にあり、1月上旬にリビアへの派兵を開始するなどトルコはリビア内戦に関与しています。そのため、国際会議の結果がトルコリラの動向に影響を与えるかもしれません。会議にはシラージュ暫定首相やハフタルLNA司令官が参加する意思を示しており、そこで両者が停戦合意できるかどうかが焦点になりそうです。両者が停戦で合意できなかった場合にはリビア情勢をめぐる懸念が高まり、トルコリラが下押す可能性があります。

TCMB政策金利とトルコCPI上昇率

(出所:リフィニティブより作成)

執筆者プロフィール
八代 和也(やしろ かずや)
シニアアナリスト
2001年ひまわり証券入社後、為替関連の市況ニュースの配信、レポートの執筆などFX業務に携わる。2011年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)に入社。豪ドル、NZドル、カナダドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソを中心に分析し、レポート執筆のほか、M2TV出演、セミナー講師を務めている。
【プロフィール】広島県出身。
【趣味】野球・サッカー観戦。
【一言】より分かりやすくタイムリーなレポートを心掛けています。