吉田 恒スペシャルレポート

2017/01/16 09:58今週の注目通貨(米ドル/円)= トランプ期待後退でも意外に米ドル安一辺倒にならない理由とは?

◆要約◆
・トランプ期待は後退、行き過ぎた米金利上昇、米株高、米ドル高修正も続く見通し。
・ただ米実態経済好調は続く。米金利低下、米ドル安も一辺倒には続かない可能性。

 
◆トランプ新政権スタートでどうなる?
 
 注目の11日、トランプ米次期大統領の記者会見の後から、先週米ドル/円は一時113円台まで反落となりました≪資料1参照≫。20日からいよいよ、トランプ政権スタートとなりますが、では一段と米ドル安・円高に向かうのか否かについて、今回は考えてみたいと思います。

 先週にかけての米ドル/円反落をうまく説明できるのは日米10年債利回り差です≪資料2参照≫。米10年債利回り低下で、日米金利差米ドル優位が縮小する中で米ドル安・円高になったわけです。
 その米10年債利回りの90日MA(移動平均線)からのかい離率を見ると、上がり過ぎの修正がかなり進んできたことがわかります≪資料3参照≫。それでもなお、経験的には米10年債利回りは上がり過ぎ圏にあるので、その修正で米金利は低下傾向が続く可能性が高そうですから、そうであれば米ドル安・円高傾向も続く可能性が高いのではないでしょうか

 ただし、そんな米10年債利回りは、必ずしもトランプ会見後に大きく低下したわけではなく、むしろ下げ渋り気味の動きと言った方が正確でしょう≪資料4参照≫。一般的には、トランプ会見を受けて、積極財政への期待後退などの指摘が多かった印象もありますが、その割に米長期金利が下げ渋りとなったのはなぜか。
 米長期金利だけではなく、米株、たとえばNYダウもトランプ会見後に下落一辺倒だったわけではなく、なお2万ドルの大台をにらむ高値圏での推移が続きました。以上のように見ると、積極財政への期待後退といった評価と、米金利や米株の動きには「微妙なズレ」があるのではないでしょうか。

 では、まだ20日のスタート前だけに、「トランプへの期待」が残っているということなのでしょうか。それよりも、むしろ「トランプへの期待」が後退したにもかかわらず、その割に米株や米金利が下げ渋る動きを続けたのは、きわめてシンプルに米経済の実態の好調ということではないでしょうか
 米国の経済成長率は昨年第3四半期に3%を大きく上回り、さらに今月末に発表予定の第4四半期の成長率も、アトランタ連銀のGDP・NOWによると、3%近い比較的高い成長が続くとの見方になっています。こういった中では、米金利や米株が下落一辺倒とならないこともある意味では当然でしょう。

 以上をまとめると、「トランプへの期待」は、ある程度予想されたように後退が鮮明になり、それをきっかけに行き過ぎた米金利上昇、米株高、米ドル高の修正もさらに続きそうですが、一方で米実体経済の好調は続いているため、それが歯止め役になることも見落としてはいけない、そんな展開が当面続くのではないでしょうか。(了)

≪資料1=米ドル/円の日足チャート (2016年8月下旬-)≫
 
(出所:M2Jチャート)

≪資料2=米ドル/円と日米10年債利回り差(2016年7月-)≫
 
(出所:M2J FX投資判断インディケーター)

≪資料3=米10年債利回りの90日MAからのかい離率 (2000年-)≫
 
(出所:M2J FX投資判断インディケーター)

≪資料4=過去一か月の米10年債利回り≫
 
(出所:Bloomberg)

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