吉田 恒スペシャルレポート

2016/05/23 10:04今週の注目通貨(ドル円)=米利上げ観測で株安再燃を注目、ドル高・円安の行方はそれ次第?!

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◆要約◆
・ドル円は金利より株との連動性が強い。米利上げ観測受けて株がどうなるかが重要。
・株は下落リスク再燃要注意か。そうであれば、ドル高・円安にも自ずと限界か。


◆米早期利上げ観測でドル高・円安はどこまで進む?

ドル円は先週、110円台を回復しました。週末終値で110円台を回復したのはちょうど1か月ぶりです。きっかけは、先週米6月利上げ観測が急拡大したこととの見方が一般的でしょう。では、米利上げ観測をにらみながら、ドル高・円安はさらに広がるかについて、今回は考えてみたいと思います。

米利上げ観測を受けて、日米金利差ドル優位が拡大するとドル高・円安になりそうですが、じつはそうならないこともありました。例えば、昨年12月FOMCでゼロ金利が解除されると、それを前後し日米2年債利回り差ドル優位は年末にかけて拡大しましたが、ドル高・円安は12月半ばで一巡しました≪資料1参照≫

また、今年に入ってからも日米金利差ドル優位は決して大きく縮小に向かったわけではなく、むしろこの間の高値圏での一進一退が続きました。それを尻目に特に2月以降ドル安・円高が大きく広がるところとなりました。このような金利で説明できないドル急落をある程度説明できたのは株価の急落でした。

以上からすると、米利上げ観測を受けてかりに日米金利差ドル優位拡大が続くとして、それに対して株価がどんな動きになるかがドル円の行方を考える上では重要なのではないでしょうか。

その株、とくに米株、NYダウは4月後半には90日MA(移動平均線)からのかい離率が一時6%以上に拡大するなど上がり過ぎ懸念が強くなっていました≪資料2参照≫。最近にかけて上がり過ぎの修正が進んできたものの、経験的には上がり過ぎの修正は足元1万7千ドル程度の90日MA割れまで続くのが基本なので、米利上げ観測を材料に米株が続落する可能性は注目されるのではないでしょうか。

NYダウが昨年12月の米ゼロ金利解除後一時急落に向かったのは、客観的には中国株が主導する形で世界的な株安が広がったことに巻き込まれたといった構図でした。その中国株、とくに上海株の昨年6月からの暴落は、これまでのところ2000年からのITバブル破裂相場の値動きに似ているということをこれまで何度か述べてきましたが、その似た動きがこの先も続くなら、上海株は新たな暴落リスクが近付いている可能性があります≪資料3参照≫

以上を整理すると、このところのドル円は金利より株との連動性が強いため、米利上げ観測を受けて株価がどうなるかが重要であり、その株ではNYダウは上がり過ぎ修正の途上にあり、また中国株暴落再燃リスクも警戒されるため、株安リスクが警戒され、それが現実化するならドル高・円安にも自ずと限界があるのではないでしょうか。

先週にかけてドル高・円安が110円まで戻してきたのは、記録的な円の買われ過ぎ、そしてドル円の短期的な下がり過ぎといった「行き過ぎ」の状況が、米早期利上げ観測急拡大をきっかけに修正に向かったということだと私は考えています≪資料4参照≫

一気に一時105円までドル安・円高となった動きはさすがに行き過ぎで、それが修正される中で円高の「お休み」は続きそうです。では、円安にどれだけ戻すかといえば、その前に、今回述べてきたような株安再燃リスクが立ちはだかる可能性があるのではないでしょうか。(了)

≪資料1≫
 
≪資料2≫
 
≪資料3≫
 
≪資料4≫

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