市場調査部レポート

2017/01/20 12:20TCMB(トルコ中銀)は大幅利上げできるか?

【相場環境】「トランプノミクス」の詳細はいつ明らかになるか
【全体観・米ドル】米ドル/円、短期反発局面も?
【ユーロ】ユーロ/米ドル、上値の重い展開となりそう
【英ポンド】英ポンド/円の足もとコアレンジは?
【豪ドル】25日に豪CPI発表。RBAの金融政策見通しは変化するか!?
【NZドル】RBNZの利上げ観測は高まるか?26日発表のNZのCPIに注目!
【トルコリラ】TCMBは大幅利上げできるか?24日に注目!
【南アフリカランド】利上げが最終局面に近いとの見解に変化はあるのか!?


【相場環境】 「トランプノミクス」の詳細はいつ明らかになるか

1月20日、トランプ政権がスタートします。トランプ大統領の就任演説では、「米国を再び強くする」「雇用の創出」などポジティブな言葉が並びそうです。ただし、「トランプノミクス(トランプ大統領の経済政策)」を含めて、政策の詳細な内容には言及せず、トランプ大統領はあくまでも概念を語るにとどまりそうです。

政策の詳細な内容は、所信表明演説(例年の一般教書演説)や予算教書の発表を待つ必要がありそうです。所信表明演説は、キャピトルヒル(議会)の上下両院会議で行われます。全議員が出席し、さらに政策の目玉を象徴するような人物が招待されます。一方、トランプ大統領が初めて提出する予算教書は2018年度(2017年10月に始まる1年間)の歳出提案を示すものです。減税などの税制改革も予算案に盛り込まれることがあります。

もっとも、所信表明演説、予算教書ともに、日程は未定です。そればかりか所信表明演説は実際に行われるかどうかも不透明です。近年の大統領就任のケースを調べてみると、オバマ大統領の所信表明演説は2009年1月24日、予算教書の発表は2月26日でした。ブッシュ(ジュニア)大統領の場合は、前者が2001年2月27日、後者は4月9日でした。そして、クリントン大統領の場合は、前者が1993年2月17日、後者が4月9日でした。



以上の事例に基づけば、「トランプノミクス」の詳細が明らかになるのは4月上旬まで待たないといけないかもしれません(議会との関係が良くないトランプ大統領は、所信表明演説をスキップする可能性があります)。

もっとも、ブッシュ大統領は、2000年のIT株バブル崩壊で景気後退局面だったこともあり、選挙戦で主張した減税を実現すべく迅速に行動しました。自身初の2002年度予算に組み込むのではなく、単独の法案として議会(*)で審議させました。そうして、ブッシュ減税は、「EGTRRA2001(2001年経済成長と減税調整法)」として、2001年5月下旬に議会を通過、6月上旬に大統領の署名を経て早々と成立しました。

(*)共和党は、下院で過半数の議席を持ち、上院では民主党と同数でしたが、上院は議長である副大統領に投票権があるので、事実上コントロールしていました。

型破りのトランプ大統領が、どのような形で政策の詳細を発表し、かつそれらを実現させるのか。前例をベースに予想すべきではないかもしれません。ツイッターやSNSといった新しいコミュニケーションツールが駆使されるかもしれません。いずれにせよ、投資家は不意の相場材料に備える必要がありそうです。<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 米ドル/円、短期反発局面も?

【相場環境】にある通り、いよいよ本日20日(日本時間21日)、トランプ第45代大統領が誕生します。

米東部時間20日正午(日本時間21日午前2時)、トランプ氏の宣誓・署名を以て、正式に大統領就任となり、新たな超大国のリーダーが誕生する運びとなります。(20日午前執筆時)

そんな中、CNNと調査機関ORCによる世論調査によると、20日に就任するトランプ新大統領に対する支持率は40%となっており、政権発足前支持率としては、近年で最低水準とのこと。(支持率では、2009年オバマ大統領:84%、2001年ブッシュ前大統領:61%、1992年クリントン元大統領:67%)

とはいえ、この世論調査については、昨年のEU離脱を問う英国民投票結果もさることながら、先の米大統領選挙時の結果からも分かる通り、“信用ならざるもの”の代名詞ともなっており、裏を返せば、支持率が低ければ低い分だけ、その上昇分の伸び代があると捉えていいのかもしれません。(トランプ氏本人もその旨をtwitterで反論しています。)

ちなみに、20日の就任式スケジュールは以下の通りです。

・20日 現地時間11:30(日本時間21日午前1:30):開会の言葉→ペンス氏の宣誓→副大統領就任
・    〃 12:00(日本時間21日午前2:00):トランプ氏の宣誓大統領就任

その後、ファンファーレ4回→Hail to the Chief(大統領万歳)演奏→21発の礼砲という形式的な行事を終えた後、注目のトランプ新大統領の就任演説が行われます。

その演説内容について、不規則発言ないしはサプライズ発言を懸念(期待?)する向きも見られますが、さすがの“悪童”トランプ氏も、一世一代の晴れの舞台でネガティブな他国口撃や悪態をつくようなことをするとは考えにくく、先のNYでの記者会見の中でも見せたように、「(自身は)神が造りたもうた大統領の中で最も多くの雇用を生み出す大統領となる。」と、高らかに「雇用創出」を押し出すであろうというのが一般的な見方となっています。

トランプ新大統領は、「USA(The United States of America)」ではなく、「DSA(The Divided States of America)」、つまり分断国家アメリカの新たな大統領になるだろうとの見方もありますが、おそらくその演説では「Unite(結束)」を強調するものと思われます。

マーケットの一部では、その演説で「減税」「大型インフラ投資」といった政策発言の期待もありますが、具体的な政策については、2月以降(正式には2月6日)の予算教書提出を以て発信されると見た方がよさそうです。(ただし、主要閣僚の一部も未決定の中、予算教書の提出は遅れるであろうというのが大方の予想となっています。)

あと、気になるところは、昨年11月の当選以来『トランプ砲』とも呼ばれる自身のtwitterですが、20日正午(現地時間)の大統領就任を境にこのtwitterも私人から公人発信のアカウントとなります。よって、それ以降のつぶやきは“公式発言”となり、公文書として米国立公文書記録管理局(NARA)に保存されることとなります。(オバマ大統領のSNSでのつぶやきも保存済み。大統領公式アカウントはトランプ新大統領に引き継がれます。)

世界を動かすと言ってもいいほどの存在となっているトランプ氏のつぶやきも、そのあたりを意識して大きく変化するのでしょうか。つぶやきの変化についても今後の見ものとなりそうです。

閑話休題。以下、米ドル/円・日足・一目均衡表+パラボリック+スローストキャスティクスをご覧ください。



上記チャートの一目均衡表から分かることは、ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)に跳ね返されるような形となっていること。つまり、足もとの米ドル/円は下方硬直性相場であると想定することができます。

また、オシレーター系指標であるスローストキャスティクスでは、「売られ過ぎ」水準である20%ライン付近で2本の線がクロス(=ゴールデンクロス)しており、過去の事例からも分かる通り、短期的な反発局面の起点となることが予想されます。(上図赤丸印)

喫緊のポイントは、パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)値である115.53円。SARは加速因数のため、その数値は徐々に変化しますが、20日以降で当該レートを上回った場合は、『買いサイン』に転換しそうです。<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、上値の重い展開となりそう

以下、ユーロ/米ドルの日足・一目均衡表+パラボリック+スローストキャスティクスをご覧ください。



上記チャートの一目均衡表を見てみると、ローソク足の行く手に分厚い形状の“雲”が存在していることが分かります。つまり、足もとのユーロ/米ドルは上方硬直性相場であると想定することができます。

また、オシレーター系指標であるスローストキャスティクスでは、「買われ過ぎ」水準である80%ライン付近で2本の線がクロス(=デッドクロス)しており、過去の事例からも分かる通り、短期的な反落局面の起点となることが予想されます。(上図青丸印)

ユーロ/米ドルの動きは、米ドル/円と反比例の動きをしていることもあり、今後のトランプ新政権と米ドル/円の動向も合わせてチェックする必要がありそうです。<津田>


【英ポンド】 英ポンド/円の足もとコアレンジは?

以下、英ポンド/円の日足・一目均衡表+パラボリック+スローストキャスティクスをご覧ください。



上記チャートの一目均衡表を見てみると、ローソク足が一時“雲”の中に入り込んだものの、20日時点ではその“雲”のサポートで押し戻されていることが分かります。よって、足もとの英ポンド/円はある程度の下方硬直性相場であると想定することができます。

また、オシレーター系指標であるスローストキャスティクスでは、「売られ過ぎ」水準である20%ライン付近で2本の線がクロス(=ゴールデンクロス)しているものの、直近においても“ダマし”があったこともあり、やや注意が必要です。 (上図赤丸印)

当面の英ポンド/円は、“雲”の中で上下推移する可能性も想定し、“雲”の上辺・下辺である先行1スパン-先行2スパンの間のゾーン(≒136.50-142.40円)が当面のコアレンジとなりそうです。<津田>


【豪ドル】 25日に豪CPI発表。RBAの金融政策見通しは変化するか!?

1月25日に豪州の10-12月期CPI(消費者物価指数)が発表されます。RBA(豪中銀)は昨年(2016年)5月と8月にそれぞれ0.25%の利下げを行いましたが、低インフレが主な理由でした。そのため、CPIや、CPIとともにRBAが重視すると言われる基調インフレ率(CPIと同時に発表)の結果が、次回2月7日の政策会合における重要な判断材料になりそうです。

市場では、RBAは政策金利を当面1.50%に据え置くとの見方が有力。OIS(翌日物金利スワップ)では、RBAが今年(2017年)7月まで政策金利を据え置く確率が75.6%織り込まれています(1月19日時点)。CPIや基調インフレ率の結果次第では、市場のRBAに対する金融政策見通しが変化する可能性があります。その場合、豪ドルが反応するとみられます。注目です。<アナリスト 八代和也>


出所:Bloombergより作成


【NZドル】 RBNZの利上げ観測は高まるか?26日発表のNZのCPIに注目!

1月17日、乳製品電子オークション(GDT)が開催されました。乳製品国際価格の指標となるGDT価格指数は1040と、前回1月3日の1034から若干上昇しました。

GDT価格指数は、昨年(2016年)12月6日のオークションで1082と、2年6か月ぶりの高水準を記録した後、前回1月3日まで2回連続で下落。今回は3回ぶりに上昇したものの、その幅はわずかであり、前回とほぼ同じと見ることもできそうです。今回の結果は、それほど材料視されませんでした。

1月26日にNZの10-12月期CPI(消費者物価指数)が発表されます。

市場では、RBNZ(NZ中銀)が今年(2017年)後半に利上げに転じるとの観測があります。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が1月19日時点で織り込む、RBNZが今年6月までに利上げを行う確率は23.7%(据え置き76.2%)。利上げの確率は8月までで40.9%、9月までで66.7%へと上昇します。OISを参考にすると、市場のメインシナリオは「9月に利上げ」であることが確認できます。CPIが堅調な結果になれば、RBNZの利上げ観測が一段と高まる可能性があります。その場合、NZドルにとってプラス材料と考えられます。<八代>


出所:Bloombergより作成


【トルコリラ】 TCMBは大幅利上げできるか?24日に注目!

トルコリラ安は今週(1月16日の週)一服しました。TCMB(トルコ中銀)が1月12日に1週間物レポ入札を中止したことで、市場金利が上昇したことが背景にあると考えられます。

ただ、市場では、トルコリラ安に歯止めをかけるには1週間物レポ入札の中止だけでは不十分であり、最終的にはTCMBの大幅な利上げが必要との見方が根強くあります。

TCMBは24日に定例政策会合を開催します。その結果にトルコリラが反応し、さらにはトルコリラの今後の動向にも影響を与える可能性があるため、注目です。

TCMBは、“インフレの加速やトルコリラ安”と“景気低迷や政府からの圧力”のジレンマに直面しています。

トルコの昨年(2016年)12月のCPI(消費者物価指数)は前年比+8.53%と、11月の+7.00%から上昇率が大幅に加速。トルコリラは今月、対米ドルや対ユーロ、対円などで過去最安値を記録しました。一方、トルコ政府はTCMBに対して利上げをしないように繰り返し求めています。ユルドゥルム首相は1月14日、利上げは一つの手段としながらも、「やむを得ない場合を除いて最初の選択とすべきではなく、TCMBは利上げの前に別の措置を検討すべきだ」と発言。エルドアン大統領の経済顧問であるゲディキリ氏も16日、「TCMBは利上げすべきではない」と強調しました。

難しい政策判断に迫られるなか、24日の会合では足もとの市場金利の上昇にあわせる格好で、1週間物レポ金利(主要政策金利)や翌日物貸出金利の引き上げが決定される可能性があります(翌日物借入金利は据え置きか)。市場では、1週間物レポ金利と翌日物貸出金利が引き上げられるとの見方が有力です。ただし、その幅の予想が割れており(0.25%、0.50%、1.00%など)、一部には双方据え置きとの見方もあります。翌日物借入金利については、利上げ予想もあるものの、据え置きとの見方が有力です。

市場の見方が分かれているだけに、政策金利の発表を受けて、トルコリラが大きく動く可能性があります。3つの政策金利がすべて据え置かれた場合、トルコリラ売りが加速するとみられます。一方、利上げが決定されたとしても、その幅が不十分と市場で受け止められた場合、トルコリラは下落する可能性もあります。<八代>


出所:Bloombergより作成


【南アフリカランド】 利上げが最終局面に近いとの見解に変化はあるのか!?

1月24日にSARB(南アフリカ中銀)が政策金利を発表します。SARBは昨年(2016年)3月に0.25%の利上げを実施した後、前回11月まで4会合連続で政策金利を7.00%に据え置きました。

クガニャゴ総裁は前回会合時の会見で、利上げ局面の終わりが近いとの見解を示す一方、「インフレの軌道が目標レンジ上限に不快なほどに近い」と指摘。「インフレの上振れリスクが生じれば、(利上げ局面の終わりが近いとの)考えを見直す可能性がある」と述べました。

1月18日に発表された、南アフリカの2016年12月のCPI(消費者物価指数)は前年比+6.8%と、11月の+6.6%から伸びが加速。上昇率は2016年2月以来の大きさとなり、SARBのインフレ目標の上限である+6%を4か月連続で上回りました。

ただし、SARBはCPIが今後鈍化するとの見通しを示しています。また、南アフリカランドが対米ドルで前回会合以降比較的落ち着いていることを踏まえると、SARBは1月24日の会合で政策金利を7.00%に据え置く可能性が高いとみられます。

その場合、クガニャゴ総裁がSARBの利上げ局面が終わりに近いとのこれまでの見解を維持するのかどうかに注目です。追加利上げの可能性が示唆された場合、金利先高観から南アフリカランドが上昇する可能性があります。<八代>


出所:Bloombergより作成




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