週刊2分でわかるトルコ

2016/06/27相場急変、TrexitとBrexit

「トルコ株急落」

イギリスが投票でEU離脱を選択したことを受け、24日の世界のマーケットが急変動しました。株式市場は全面安、外国為替市場ではポンドが31年ぶりの安値更新、景気に敏感な原油相場が急落しました。反面、リスク回避で、円、米ドル、スイスフラン、金、米国債、ドイツ国債などに買いが殺到しました。

いわゆるBrexitの決定を受け、トルコのマーケットも荒れました。イスタンブール株式市場の主要指数であるBIST100が一時5.02%下落しました。トルコリラの対米ドル相場は一時5%安、クロス取引の対円相場が急落しました。トルコ国債が売られ、2年債の利回りが8.97%から9.20%へ急上昇しました。

トルコの中央銀行は、イギリスの国民投票の2日前に開かれた金融政策委員会で、翌日物貸出金利を9.5% から9.0%に引き下げました。次の会合まで1か月あるため、当面は、マーケットの状況を見守るとみられています。トルコの中央銀行は、伝統的に、マーケットが混乱した際は、まず外為市場の流動性確保に動きます。

短期的に、トルコとイギリス、そしてEUの貿易が低迷する可能性があると指摘されています。トルコにとってイギリスとの貿易は、対ドイツに次いで2番目の大きさ。エーゲ海に面するトルコのリゾート地は、イギリス人の人気観光スポット。ポンド安の影響で、すでに低迷しているトルコの観光業に打撃になることは確実です。

「英首相に激怒したトルコ」

ドイツのベルリンやフランクフルトを訪れると、いたるところにソーセージの屋台があるのが印象的です。「Imbiss」と呼ばれますが、ソーセージやホットドッグを売っているのはトルコ人。1960〜1970年代、西ドイツの再開発のため、多数のトルコ人が労働者として招かれました。やがてドイツ最大の移民グループを構成することになります。現在のドイツ在留トルコ人は300万人に達します。

イギリスの国民投票の離脱派は移民問題を最大の争点にしました。移動の自由があるEU加盟国の市民のほか、大量の移民がイギリスに在留、労働者の職を奪い、治安悪化が深刻だと主張しました。

トルコが2005年以降、EUと加盟交渉をしていることも論争になりました。これについてキャメロン首相は、トルコがEUに加盟するのは西暦3000年になると発言しました。事実上、トルコ加盟は不可能との見方を示したもの。トルコ政府と交渉するEU側の責任者はイギリス人です。

トルコのエルドアン大統領がすぐに反応しました。「EUがトルコを加盟させたくないのは、トルコ人のほとんどがイスラム教徒だからだ」と批判しました。大統領はまた、仮にEUとの加盟交渉がまとまった場合、EU加盟の是非を問う国民投票を実施する考えを明らかにしました。イギリスのThe Guardian は、これはBrexitではなく、Trexitだと伝えました。

イギリスの投票結果を受け、EU加盟国で離脱の是非を問う国民投票の実施を求める声が強まっています。フランス、スペイン、デンマーク、オランダ、スウェーデンでも。Frexitとか、Spexitという言葉が早くも広く使われています。EUと隣接、関係が深いトルコにも大きく影響しそうです。ヨーロッパ大陸の最西端で起きたBrexitが、最東端のトルコを揺るがしています。

今週のマーケットでは、Brexitの衝撃の余韻が残ると指摘されています。不透明感が強く、リスク回避ムードが続きそうです。トルコリラは、マーケット全体の動きに左右されることが予想されます。
 
 [June 27, 2016 T0083]

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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