2分でわかるアメリカ

2017/02/23大統領の理想と現実

アメリカのトランプ政権が不法移民の徹底的な取り締まりに動きました。国土安全保障省が22日に出した新ガイドラインは、事実上、すべての不法移民が国外追放される可能性があることを示すものでした。

不法移民に厳しくするのは当たり前ではないか、と思うかもしれません。でも事情は非常に複雑です。

どういうことかと言いますと、アメリカ経済が不法移民に依存していて、いなくなると多大な影響が出るということです。特にニューヨークやロサンゼルスなどの大都市でその傾向が強い。

今月16日、全米各地のレストランやベーカリーの多くが休業しました。数千人にのぼる移民労働者がトランプ大統領に抗議する「移民のいない1日」運動を繰り広げたのです。洗車場やクリーニング店の一部も休業しました。影響を受けた知人が少なくありません。

抗議運動に参加したほとんどの人は「合法移民」です。ただ、レストランの多くは、人件費を抑えるため皿洗いなどで不法移民を雇っているとされています。公式の統計はありませんが、洗車場で車をタオルで拭くサービス、ワイナリーでブドウを収穫する作業、オレンジの収穫など。ほとんどの作業員は不法移民だと指摘されています。トランプ大統領から労働長官に指名されたパズダー氏が辞退しましたが、不法移民の家政婦を雇用していたことが理由でした。

アメリカには不法移民が1100万人いると推定されています。全員がいなくなったらどうなるか。レストランが高くなり、ワインの価格も上がることは簡単に想像できます。家政婦がいなくなり、共働きが不可能になる家庭が増えるかもしれません。

ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなどでは「サンクチュアリ・シティ(聖域都市)」の議論が活発になっています。不法移民を保護する特例化を宣言するものです。ただ、トランプ大統領が「連邦資金の交付を止める」と主張しているため、各都市は実施に躊躇しています。不法移民問題が、現実と理想の間で揺れています。


 [February 22, 2017]  No 031843597

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ