週刊2分でわかる豪・NZ

2017/08/10NZドルと豪ドル、上値重いか

「ハト派でなかったRBNZ」

ニュージーランドの中央銀行(RBNZ)は、10日に開いた金融政策を決める会合で、政策金利を1.75%に据え置くことを決めました。予想通りでした。

声明は前回とほぼ同じトーン。マーケットの一部でハト派的に転じるとの予想がありましたが、どちらかといえば中立的なトーンでした。

通貨についてRBNZの声明は、米ドル安が一部影響して、5月の会合以降に貿易加重為替レートが上昇したと指摘しました。その上で、インフレ率を引き上げ、よりバランスがとれた成長のために、NZドルが下がる必要があると述べました。

そして、金融緩和を相当期間にわたり継続すると結論づけました。多くの不確実な要素があり、政策を修正する必要があるかもしれないとしています。

見通しについては、インフレ率が2019年の第1四半期に目標の2%に達すると予想しました。これまでは第2四半期と予想していましたので、前倒ししたことになります。利上げ時期は、2019年の第3四半期(7-9月)と予想しました。

ウィーラー総裁は来月26日に退任する予定。9月23日に総選挙が実施されることから、スペンサー副総裁が来年3月18日まで総裁代行を務めます。次回の会合は9月28日で、ウィーラー総裁にとって今回は最後の会合でした。記者会見の後半に、通貨に関する質問が集中しましたが、声明以上の言及は避けました。

「北の脅威でリスク回避」

ニュージーランド経済にとって、いま最も不確実なのは地政学リスク。今週に入り、朝鮮半島の緊張が強まったことを受け、マーケットでリスク回避ムードが広がりました。安全資産とされる円とスイスフランが買われる一方、新興国通貨が売られました。豪ドルと並び、資源国通貨および高金利通貨のNZドルは、リスク回避でそれぞれ売られました。

朝鮮半島問題は、地理的に遠いニュージーランドに影響しないとされていますが、少なからず影響が出ています。ワシントン・ポストによりますと、ニュージーランド政府は今週、学会に出席予定だった北朝鮮の歴史家や教育関係者らのビザ(査証)発給を拒否しました。

CMCマーケッツのトレーダーは、「リスクに投資する環境ではない。リスク回避の局面はKiwi(NZドルの俗称)に好ましくない。目先、NZドルの対米ドル相場は0.72 〜0.74米ドルで取引されるだろう」とニュージーランド・ヘラルドにコメントしました。

ニュージーランドの最大貿易相手の中国の消費者物価指数が予想外に低下しました。中国経済の減速がさらに鮮明になると、NZドルにネガティブに影響するとみられます。

RBNZが予想ほどハト派ではなかったことを受け、NZドルが対米ドル、対円で上昇しました。ただ、上値は限定的でした。目先は、マーケット全体の動きに連動しそうです。

ANZは最新のレポートで、NZドルの上昇基調が衰えたとコメントしました。クロス取引の対円相場は、朝鮮半島情勢とFRBの政策をめぐる思惑で振れが大きくなっていて、その影響を受けそうです。

「0.80の節目」

豪ドルの対米ドル相場は先月、0.80米ドル台まで上昇しました。しかし、オーストラリアの中央銀行(RBA)が8月1日の会合後の声明で通貨高を強くけん制して以降は、やや軟調に推移しています。投資家の間で、豪ドル/米ドル=0.80米ドルが強く意識されています。ANZは、「0.80は行き過ぎだ」とコメントしています。ただ、米ドルの不確実性が豪ドルを下支えするとみています。

豪ドルは当面、レンジで推移する可能性が高いとみられています。対米ドル相場が0.80米ドルに近づくと上値が重くなる一方、下値も堅そうです。NZドル同様に、クロス取引の豪ドルの対円相場は、米ドル/円の影響を受けることが予想されます。


[August 10, 2017 AN0102] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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