週刊2分でわかる豪・NZ

2017/10/12運命の日 NZドル急上昇か続落か?

「運命の日」


先月23日に実施されたニュージーランドの総選挙で、海外在住者などを含めた特別投票の開票が7日に終わり、最終結果が発表されました。


イングリッシュ首相率いる国民党の議席数は56。暫定結果と比べ2議席減りました。女性党首アーダン氏が率いる労働党は躍進、46に議席を伸ばしました。連携する緑の党の8議席と合わせると54。総議席数は120ですので、いずれも過半数に届きませんでした。


第3党になったNZファースト党の9議席がどちらに動くか。キャスティングボートを握っています。ピータース党首は12日夜までに交渉を終え、結論を出す方針です。ただ、NZファースト党内の意見調整が長引く可能性があります。いずれせよ、NZファースト党の発表が、政権、首相を決めることになります。運命の日になります。


予想では、ピータース党首は、最も多くの議席を獲得した国民党を選ぶ確率がやや高いとされています。2党連立になり、労働党主導の3党による連立より政策運営が簡単だとみられるからです。


ただ、NZファースト党の公約は、国民党より労働党に近いとされています。アーダン党首はピータース党首と個人的な信頼関係を築いたとしています。


マーケットは、どちらの政権になるかに加え、NZファースト党の主張がどこまで反映されるかにも注目しています。NZファースト党は、名前が示す通りニュージーランドの利益を第1に掲げる政党です。アメリカのトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」と似た部分があります。移民の大幅な制限、海外資本規制、社会保障の充実、中央銀行の役割の見直しなどを主張しています。


NZドルは、連立協議の行方の不透明感を背景に、対米ドル、対円で軟調に推移しました。バンク・オブ・ニュージーランドは、国民党とNZファースト党の連立政権が成立すれば、NZドルが大きく上昇する可能性があるとみています。一方、労働党+NZファースト党+緑の党の3党連立になった場合は続落すると予想しました。


「豪の二重国籍問題」


オーストラリアの政治も揺れています。こちらは二重国籍問題。オーストラリア憲法は、「他国の国民に与えられる特権」を議員に禁じています。移民国家のオーストラリアには、二重国籍を持つ人が非常に多く暮らしています。


日本では民進党の蓮舫議員の二重国籍問題が一時話題になりましたが、オーストラリアでは、副首相や閣僚まで問題が広がっています。


きっかけは、緑の党の議員2人が二重国籍問題で辞職したことでした。その後、疑いのある議員が続出しました。両親のいずれかがニュージーランド人、もしくはカナダ人やイギリス人、さらにはイタリア人で、二重国籍を持つと判明した議員が7人。ニュージーランド人の父親を持つ下院議員のジョイス副首相も含まれています。ゼノフォン上院議員は別の理由で先週、辞職しました。


7人に議員資格があるかをめぐる審理が10日から最高裁で行われています。最終的にジョイス副首相らが議員資格を失えば、ターンブル首相率いる自由党連合が過半数割れとなる可能性があります。政権を大きく揺るがし、政局が不安定になると懸念されています。


二重国籍問題と政局が豪ドルの重石になる可能性があります。11日の取引では、消費者信頼感指数が予想以上に上昇したにもかかわらず、上げ幅は限定的でした。豪ドルの上値は当面重そうです。


ブルームバーグは、中銀の利上げをめぐる見方の違いで、ゴールドマンサックスとヘッジファンドの豪ドル相場観に隔たりがあると伝えました。ゴールドマンは利上げペースが他国より遅いとみて、豪ドルが弱含むと予想しています。反面、ヘッジファンドは豪ドル高に賭けるポジションを増やしています。中銀幹部の発言、金融政策に影響する経済指標が注目を集めそうです。


 
 [October 12, 2017 AN0111] 
 

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

「週刊2分でわかる豪・NZ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ