週刊2分でわかる豪・NZ

2017/02/16トランプ政権にぴりぴり、24時間体制で監視

「後手に回る」

日本の安倍首相がドイツのメルケル首相に招かれました。来月にもドイツに来ませんかと。ドイツは今年、G20の議長国。アメリカのトランプ大統領と48時間を過ごした安倍首相からできるだけ多くの情報を聞き出したい、というのがメルケル首相の本音だと思います。ドイツ外務省にトランプ政権の人脈がまったくない。

事情はアメリカの同盟国であるオセアニアの2カ国も同じです。

アメリカと軍事面での同盟関係が強いオーストラリア。ターンブル首相が、今月2日のトランプ大統領との電話会談で「地雷を踏んでしまった」ことが大騒ぎになっています。トランプ大統領の移民政策が司法の場で争われている最中、ターンブル首相が「オバマ政権との難民合意」の順守を求めました。トランプ大統領が「最悪の電話会談」と激怒したことが、ワシントン・ポストへのリーク情報で明らかになりました。準備、対応が後手に回った結果と言えます。

これを知ったニュージーランド政府内に危機感が高まりました。イングリッシュ首相も狙われるかもしれない。アメリカがTPPを永久離脱したが、どう動くのか。トランプ政権が入国を一時禁止した7か国とニュージーランドの二重国籍を持っている人はどうなるのか。情報が乏しく、トランプ政権が読めない。ぴりぴりした緊張が走ったと想像します。

できるだけ情報が欲しい。ニュージーランドの外務省は、トランプ大統領が打ち出す政策を監視するタスクフォースを発足させました。精鋭数人が在ワシントンの大使館と連携、24時間体制でトランプ政権に関するあらゆる情報を収集、分析するのが任務です。

タスクフォースからの情報、分析結果が報告されていたかどうかはわかりませんが、ニュージーランドのイングリッシュ首相とトランプ大統領との電話会談で火花が散ることはありませんでした。

6日午前の電話会談では、経済や軍事面での同盟関係を強化することで一致しました。ニュージーランド・ヘラルドなどが伝えました。話した時間はわずか15分。移民政策で意見の相違があるとイングリッシュ首相が述べましたが、トランプ大統領は「大人の対応」をしたそうです。ニュージーランド人のプロゴルファー、ボブ・チャールズ氏を称賛、トランプ大統領はニュージーランドのことをよく知っていた、とイングリッシュ首相が安堵の感想を漏らしました。

「NZドルの下値は限定か」

NZドルはこのところやや軟調です。ニュージーランド中銀(RBNZ)が政策金利を据え置いた先週の会合後の声明がハト派的で、利下げの可能性を示したことが影響しています。

ただ、NZドルの下値は限定的だとの見方が優勢です。大手銀行のANZは、堅調な経済指標が発表され、いずれ利下げではなく、利上げの可能性が話題になるだろうとして、NZドルがそれほど下げないとの見通しを13日付けのレポートでコメントしました。経済の方向がはっきりするまでは、マーケット全体の影響を受けやすいとみています。

RBNZとは反対に、オーストラリア中銀(RBA)は先週、タカ派的な景気認識や見通しを示したことで、豪ドルは比較的堅調に推移しています。企業の景況感が良好、鉄鉱石や銅などの価格が高いことも豪ドルを支えています。

豪ドルの堅調は続くか。ANZは、国内要因だけで豪ドルの一段高は難しいとみています。上値を試すかは外部要因次第ということでしょうか。

一方、NABは先週、S&Pのアナリストを招いたランチを主催しました。オーストラリアは最上級「AAA」に格付けされていますが、S&Pは去年夏、アウトルック(見通し)を「ネガティブ」に引き下げました。ランチを終えてNABは、S&Pのオーストラリア経済に対する見方が僅かながら改善したものの、今年半ばには格下げされる可能性があるとの印象を得ました。もしそうなれば、豪ドル相場に影響することが予想されます。


 [February 16, 2017 AN0077] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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