岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/01/10 13:32トランプ・ラリー中心の戦略は修正どき?

日経225 現物指数 終値19454.33円(1月6日)
安値19277.93円(1月4日)/高値19615.40円(1月5日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/1/6
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 2017年新年の日経225は、驚くほどの好スタートを切りました。これは、欧州や米国の株式市場も同様です。まず、先に始まった3日の欧州市場で主要指数が軒並み上昇。とりわけ、金融株が大きく上昇しました。NYダウも年明け3日は4営業日ぶりの反発で、一時19900ドル台に乗せます。ドルインデックスは103.28まで上昇し、約14年ぶりとなる高値を付けました。米国投資家にとって、1月は新年度となります。その新年度には、機関投資家によるアセットアロケーションの見直しが始まります。最初の取引で向かった方向が株上昇、ドル上昇ということは、株やドルのウエイトを高めたい意向が続いているとも見ることができます。また、ヘッジファンドなども、最初にとりたいトレードの方向はショートではなく「ロング」だったとも解釈できます。

 昨年末の日経225終値19114円を上回る19298円で始まった4日(水)の日経225は、東京時間に上げ幅をグイグイと伸ばしていきます。寄り付きギャップで184円上昇し、大引けまでの東京時間で296円上昇。東京時間に強い動きとなったのは、多くの市場参加者が「新年早々崩れるのではないか?」と恐れていた(新年の下落に賭けていた)反動といえます。記憶に新しい昨年の大発会は急落し、そのまま6連敗(大発会からの連像下落では過去最長)・・・このトラウマから、下げに備えたポジションメイクが年末に進んでいた背景がありました。ただ、今年の新年は、海外市場で強いリスクテイク姿勢が確認され、事前のショートポジションが新年早々買い戻しを迫られる形になったといえます。

 例えば、これは東証1部の空売り比率に表れていました。昨年12月29日(木)の空売り比率は41.07%と、トランプ・ラリー以降で最も高い数値でした。これが、大発会には36.51%まで急低下。年始に下落を想定していたショートポジションの買い戻しが、現物株サイドでも相当入っていたことが想像されます。買い戻しに加え、市場では「米系証券経由で先物買いが入っている」とも噂されていました。実際、この日の引け後に公表された先物手口では、TOPIX先物で米系のGSが2838枚買い越し、JPモルガンが1980枚買い越しとなっていました。新年度入りした米系の年金などが、アセットアロケーション変更に伴うTOPIX先物買いで動いていたことも想像できます。買い戻しと海外勢の先物買いのミックスで、大発会は4年ぶりに上昇。前日比の上昇幅479円は、大発会として1996年(749円高)以来となる21年ぶりの大きさに。また、東証1部の売買代金は2兆6851億円でした。これも、大発会が終日立会になった2010年以降の8年間で最大の大商いに。まさに記録ずくめの大発会となりました。

 ただ、1月第1週で上がったのは3営業日で大発会だけ。興奮冷めやらぬ5日(木)は、大発会の高値を上回る19600円台に乗せて始まりましたが、ここが先週のピークでした。米国時間の4日に公表された12月FOMCの議事録では、利上げ見通しが年3回に上方修正されたことについての具体的な中身が見えなかった(ハト派寄りだった)せいか、市場の利上げ観測は後退(米長期金利は2.45%に低下)。ドル売りの勢いは、東京時間が始まる9時の直前から強まり、東京時間に米ドル/円がかなり下落しました。東京時間に入ってから米ドル/円が大きく動いたこともあり、「日本企業が新年入りで為替予約(米ドル売り/円買い)を行ったから」との声も聞かれました。米ドル/円は、前日の東京時間の終了時より1円60銭程度も円高になりながら、それでも東京時間の日経225は「その割に相当底堅い」動きに。米ドル/円が1円動くと、日経225は約200円変動するような推移でしたが、この日は1.6円下落(=約320円下落要因?)という状況でも30円~40円安程度に収まっていたわけです。それだけ、海外投資家の日本株買いニーズが新年強いということかもしれません。

 これは、連休前の6日(金)も同じでした。前日の米長期金利は2.349%と、12月7日(2.339%)以来の低水準まで低下。債券売りのアンワインドが進み、米ドル/円も115円台で推移。さらに、米国時間の5日の午後、トランプ゚次期米大統領がトヨタ自動車のメキシコ工場建設について、自身のツイッター・アカウントで「ありえない話だ(NO WAY!)」「トヨタがメキシコに工場を建て、米国向けにカローラを作ろうとしている。アメリカに工場を作るか、高い関税を払え」などと投稿。トヨタに加え、メキシコに生産拠点を持つホンダやマツダなどが一斉安で始まりました。それでも開始直後に19354円の安値を付けたあとは下げ幅を縮小。終わってみれば、前日比66円安と小幅な下げで踏ん張ったわけです。しかも、この日は日経225のウエイト最大銘柄ファーストリテイリングが12月の既存店売上高が悪かったことを理由に急落。この銘柄1つで、日経225を110円も押し下げていました。つまり、ファーストリテイリングを除く日経224でいえば、34円高だったということ・・・。悪環境のなかでも下げない底堅さを発揮したといえそうです。ただ、その背景にあるのは、いつも通り「日銀ETF買い」だったといえます。この日の前場のTOPIXの下落率は0.39%で、日銀ETF買いが703億円入っていました。新年入りしたことで、年間枠の6兆円は完全復活しています(日銀=政策変更が無い限りは買い続けると宣言している投資主体)。

(今週の見通し)

 新年早々に凄まじい上昇を演じた日経225も、その後は軟調。歴史的な節目となる2万ドルを前に足踏みするNYダウと同様、動きは落ち着いているように見えます。先週末6日(金)夜の米雇用統計後こそ、米ドル/円も117円台を再度付けましたが、結局は9日に下落し、先週末の水準に戻っています。英メイ首相の発言でハードBrexitの懸念が再燃したことが理由とされますが、これはメディア向きのリスクオフ材料。トランプ・ラリーで参戦してきた多くのプレーヤーにとって強い手掛かりではないと思います。

 昨年に続き、しばらくの焦点はトランプ・ラリーの有無に尽きるでしょう。昨年末にかけてトランプ・ラリーの巻き戻しの動きは進み、足元でも米長期金利が2.3%台に低下するなど、既に変調をきたしています。そのため、昨年起きたトランプ・ラリーは一旦終了しているようにも思われ、表現的には「第2幕」があるのかないのか?になりそうです。

そして、もうひとつ、新たなシナリオも考えるべきと思うようになりました。トランプ氏がトヨタを名指しで批判し、結局トヨタはそれに応じるように今後5年間で100億ドルの米国投資を決めました。トランプ氏に右往左往させられるリスクは想定されていましたが、実際、攻撃されたトヨタ株は売られました。これは、労働コストの高い米国での生産拡大は、収益力の低下につながるからです。これ、大統領選挙前に散々言われてきた“トランプリスク”ではないでしょうか?選挙後には“グッドトランプとバッドトランプ”と表現されていましたが、“バッドトランプ”の側面ですよね。期待から現実を直視させられる局面に入ったとき、市場はどう動くか?後で振り返ったとき、「やっぱり大統領選挙前にみんなが心配していた通り、トランプはリスクだったね」となる可能性もあるように思われます。これまで、「トランプ・ラリーに逆らうな」をベースに見通しを書いてきましたが、そろそろ修正すべきと思うようになりました。

その意味でも今週は、米国時間11日(日本時間では12日未明?)に予定されているトランプ次期大統領の記者会見が最注目になります。また、司法長官に指名されたジェフ・セッションズ上院議員などの公聴会も始まります。「第2幕」の始まりを知らせるような発言になる可能性が高そうですが、日本の投資家目線では保護主義的な思想を炸裂させないか?とか、ドル高けん制発言は出ないか?といった不安のほうが大きいように思われます。また、週末13日(金)から米主要企業の決算発表シーズンに突入します。トップバッターはJPモルガンなど金融系(これまでトップバッターとして知られていたアルコアは、昨年11月の会社分割に伴い1月24日に後ズレ)。大手金融は、金利上昇による利ザヤ改善もあり、強い見通しが出ることが期待されます。ただ、その後続く、米国の多国籍企業(インテルやアップルなど)はどうでしょうか?ドル高による競争力低下や、米国投資を迫るトランプ政治を前に、楽観的な見通し(株主還元策含めて)を出せるでしょうか?こういった不安が1月20日の就任式までに顔を出すリスクは無視できません。

 今週の日経225の想定レンジは、19200円~19700円と前回レポート時から変更ありません。ルールに従ってひたすら前場下がった日に発動する日銀ETF買いの存在は下値抑止力そのものでしょう。ただ、米長期金利水準から見れば高い水準で取引されている米ドル/円の下落リスクも上値を押さえることになりそう。今後1カ月の想定レンジも18500円~20500円の前回レポート時のワイドレンジを継続。トランプ新大統領の誕生まで・・・、あと9営業日です。備えあれば憂いなし!

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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