岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/12/26 15:35日銀ETF買いが指数を支える構図が継続

日経225 現物指数 終値19427.67円(12月22日)
安値19307.14円(12月19日)/高値19592.90円(12月21日)


(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1〜12/22
 
(出所:Bloomberg)


(先週の振り返り)

 トランプ・ラリー下で続いた日経225の週間上昇を7週連続に伸ばしました(前週末比ではわずか43円高に留まりましたが)。明らかに上値は重くなってはいますが、これはクリスマス休暇入り前のポジション整理ともいえるタイミング・・・。ラリーの終了を宣言するには気が早そうです。

 前週末の海外時間リスクオフを受け、週初19日(月)の日経225は下落でスタート。欧州でテロを思わせる事件が相次ぎ、地政学リスクも少し意識されていました。ただ、この日の午前中に付けた安値19307円が今週の日経225の安値にもなりました(これで6週連続、週間安値を「月曜日」に付けています)。午後に下げ幅を縮めた理由は、前場のTOPIXが0.27%安だったことで後場に入った日銀ETF買い(742億円)でしょう。指数主導で下げ止まった感がありましたが、全体的にはクリスマス休暇前のアンワインド中心。トランプ・ラリーの特徴であった「バリュー株買い/グロース売り」の巻き戻しになるため、バリュー株の代表である銀行株などが売られ、逆にグロース株にあたるディフェンシブ銘柄の上昇が目立ちました。

 19日の米国時間には、アメリカのボルチモア大学の卒業式の場で、イエレンFRB議長が演説。卒業生への激励といった意味もあったと思われますが、「米国の労働市場は過去10年近くで最も強い」と発言。この演説内容が伝わると、米長期金利は上昇。米ドル/円も117.30円辺りまで急上昇しました。ただ、その買いも続かず、金利も低下。これを受けた20日(火)の東京市場は、今年最後の日銀金融政策決定会合の結果公表が控えていることもあって小動きで始まりました。物色も前日と同じトランプ・ラリーのアンワインドの形。前場のTOPIXは0.21%安で終わりました。そして、昼休み時間中には予想通り、日銀の政策維持が伝わります。すると、様子見ムードだった相場の雰囲気が一変。米ドル/円の上昇と日経225の上昇のコラボレーションが始まります。最初に仕掛けたのはHFなど投機筋と見られますが、午後に上げ幅を拡大する場面で寄与した買い手はこの日も日銀ETF買い(742億円)だったといえます。会合の結果より注目されていたのは、15時30分開始の日銀黒田総裁の記者会見でした。急速に進んだ円安について、黒田総裁は「2月の水準に戻っただけ」「別に驚く水準とも思っていない」などと回答。年前半の円高局面では黒田総裁が何か言うたび円高に振れていましたが、値動きが変化したことで、マーケットも黒田総裁の発言を好意的に受け止めます(黒田総裁はまだ上を見ているのではないか?など)。会見後に米ドル/円は118.20円まで上昇(記者会見開始前と比べて米ドル/円で約50銭上昇)。なお、日経225プレーヤーが関心を持つETF買いについては、「今の時点でETF購入を減らす判断は適切ではない」とテーパリング懸念を一蹴。日経225先物も夜間取引で19620円まで上昇しました。

 20日にNYダウが1週間ぶりに過去最高値を更新。これを受けた21日(水)の日経225は高くぶつかるも、この日の開始直後に付けた19592円が今週の高値になります。高く始まったあとに上値を切り下げた動きについては、一部市場関係者の間で「国内金融機関からのETF売りが理由」との噂が回ります(こちらについては後述します)。実際、引け後の手口では、TOPIX先物もみずほ証券が2874枚、大和証券が1124枚売り越しでした(売り越しが目立ったのはこの2社だけ)。これは、国内金融機関からのETF売りを受けた証券会社が、ETFを買いで受ける形になる分のヘッジで先物を売っていたからと推測されます。この日の午前中のTOPIXは変わらずだったこともあり、午後からの日銀ETF買いは無し。日銀ETF買いが無いとこんなものか、というような動きで午後崩れました。

 週末21日(金)は、小幅安でスタート。前日のNYダウが節目の2万ドルまであと一息の水準に迫るも失速。この日はイタリアの銀行モンテパスキに対する資金調達の案件がまとまらず、4カ月で資金が枯渇する見込みと発表したことでモンテパスキ株は12%安。リスクオフ要因になりそうな話ではあったものの、欧州株全体では悲観視されず・・・。米ドル/円も117円スレスレまで下落したものの結局戻しており、最近のリスク不感症ぶりを再確認させられました。日経225についても安く始まりながら、午後は下げ幅を縮小。結局は高値引けで終了しました。クリスマスを含む3連休を前に様子見ムードが強いなか、この日も入った今週3回目の日銀ETF買いが支えた格好といえます。先週なんとか週間プラスで終えられたのは、文句無しMVPの日銀のおかげといえますね・・・。

(今週の見通し)

 クリスマス休暇前の先週、相場を支えたMVPは「日銀(のETF買い)」でした。無理に参加する必要がないプレーヤーは見送り姿勢のなか、海外がリスクオフで日本が少し軟調地合いでも、午後は日銀ETF買いが入るため下値は限定的・・・。この繰り返しです。今週は、週初の欧米市場が日本と似たようなスケジュールで休場になるため、市場参加者は引き続き少なくなることが予想されます。先週と同様、積極的に動くプレーヤーが限られるなか、日銀の1日当たり(しかも午後だけ)742億円買い越し需給が指数を支える構図を基本線に見ておけば良いでしょう。

 突発的に日経225先物を投機筋が仕掛ける、といった予想できないことが起きない限り、値幅は大きくなりにくい週と予想できます。そういった中で、無理にトレードする必要はないといえます。ただ、こんな時期でもトレードしないといけない参加者はいます。ちょうど今が年末になりますが、27日(火)が年内受渡の最終売買日です。この日までに、日本の機関投資家(主に銀行や生損保)が株売りを続けるのではないかと噂されています。これは、先週の上値を押さえた売り主体とも見られているのですが、年末に向けて地銀や生損保が株を売っているようです。この背景には、トランプ・ラリーにより短期間で進んだ長期金利と米ドル/円の急上昇があります。先日、金融庁が金融機関に緊急の聞き取り調査まで行っていましたが、短期間で日本の機関投資家が巨額の損失になっていることが容易に想像されます。

 例えば、為替ヘッジ付の米国債。短期間で米国債が急落したことで、巨額の「評価損」になります。また、ドル高になっているため、為替ヘッジなしに切り換える動きも進んでいるようです(これは米ドル/円買い戻し要因になる)。債券安で生じた巨額の損失を埋め合わせるため、評価益のポジションを売却して損失をカバーします。その損失埋め合わせ対象になっているのが日本株や日本株のETFで、この売りが相場の重石になっているようです。ただ、これもあくまで上値の重石の話。過去を遡っても、銀行や生損保という投資主体を合計すると、週間で約1200億円程度の売り越しが上限といえます。こういった国内勢の売りが過去のマーケットでは重石になってきましたが、日銀ETF買いが存在する今のマーケットでは日銀買い2発(742億円×2=1484億円)で吸収出来てしまいます。やはり、理屈的には大崩れしないのではないかと考えられます。

 週末の日経新聞で、「日本株購入、日銀が最大」という記事がありました。2016年に、日本株を一番買ったのは、他でもなく日銀(4兆3000億円超)だったという記事です。年間でもMVPは日銀ということですね。外国人が3兆5000億円強を売り越した分を丸ごと吸い上げてしまった構図です。これは前から予測できた話。そして、来年の予測にもつながる話です。年間6兆円枠に拡大したのは7月29日だったため、年間としては4兆円台の買い越しでしたが、来年の日銀は「年間6兆円買い越し」が確実。それが現時点で見えている以上、過去の長いチャートを見ながら下値メドを考えるといったことは不毛でしょう。日銀がETF買いについての政策方針を変更(テーパリング)するまで絶対忘れてはいけない事実です。株価形成は歪みますが、これが続く以上、年間通じて大きく下げることは理屈上無理でしょう。

今週の日経225の想定レンジは、19200円〜19700円とします。年内に2万円の大台を付けるのはさすがに難しそうです。ただ、年明け後もトランプ・ラリー継続を前提にしていきます。まだ就任していない段階で失望するということはないだろう、これが楽観視している唯一の理由です。焦点は就任後(1月20日以降)にあって、トランプ氏が過去と同じドル安志向の姿勢を見せた段階で失望は顕在化するでしょう。中国リスクを気にする声が多くなっているなか、年明け1日には中国PMIなどの発表も予定されています。ただ、現時点で気にしたからといって、何かできるわけではありませんから・・・。というわけで、今後1カ月の想定レンジは18500円〜20500円とワイドに設定。トランプ新大統領の誕生まで・・・、あと21営業日です。

 年内のコラムは今週号で最後になります。当初はもう少しコンパクトに書く予定でしたが、書き始めると文字数が多くなり、読みづらくなってしまったことお詫び申し上げます。この長文・駄文を読んで下さっている方が少数でもいらっしゃることを前提に年明けも奮起したいと思っております。来年も何卒よろしくお願いします!

(おしまい)

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