岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/02/27 17:31注目はトランプ大統領の議会演説!ミスプライス形成には要注意

日経225 現物指数 終値19283.54円(2月24日)
安値19115.11円(2月20日)/高値19419.22円(2月22日)


(先週の振り返り)

 週央から週末まで3日続落となりましたが、終わってみると日経225の先週の終値は19283円。その前の週の終値19251円に対し、わずかですが上昇(32円高)でした。下げそうで下げない、というか下げていなかった日経225。「閑散に売りなし」という相場の格言がありますが、「閑散に少し売りあり、日銀ETF買いあり」というような、質がいいとは言えない相場がダラダラ続いた印象です。5日線が19300円前後、25日線が19200円前後で推移しますが、薄商い、かつ売り手も買い手も相場感を働かせているとはいえないため、この価格帯でもみ合っていることに意味も特に無いでしょう。

 週初20日(月)は、米ドル/円の下落(前週末のロンドン時間の安値112.60円)、そのタイミングでのナイトセッションの先物安値19020円まで崩れていたことも受け、日経225は73円程度の下落でスタートしました。「米長期金利は低下、米株は高止まり(連騰記録更新中)」という不一致が、この辺りから目に付くようになっていました。こういう現象が起きるときは、その理由をメインプレーヤーの違いと捉えることができます。株式市場はプロ以外が多く参加している一方、債券市場はプロしかいない・・・。そのため、債券をトレードしているプロたちが「それほど驚異的な減税策は出せないのではないか」を早くから織り込みに動いていたとも解釈できます。

 ただ、この日の日経225は、安値19115円から切り返し、終値では16円高と上昇で終えました。東証1部の売買代金が1.71兆円と今年最低だった(多くの市場参加者が様子見に徹していた)なか、指数を押し上げる特殊要因がありました。それは、ソフトバンクG株が271円高で日経225を30.9円押し上げたことと、ブリヂストン株が234円高で日経225を8.9円押し上げたこと。それぞれ、スプリントの経営権を譲渡するとの報道、12年ぶりの1500億円の自社株買い発表という材料がありました。そのため、この2社で約40円押し上げていたことを考えると、全体の流れ的には少し調整の日だったといえます。

 意外高になったのが翌21日(火)。前日のナイトセッションでも日経225先物の上下値幅はわずか50円で、動かざること山の如しといった雰囲気で始まったのですが・・・。この日は、前日を下回る東証1部の売買代金1.65兆円(これが今のところ今年最低)でした。午前に特段の理由が無く上昇、そして後場は上下値幅わずか25円だったのですが、前日比130円高となりました。あえてこの日上がった理由を表現するならば、「超閑散に空売りなし」といったところでしょう。前日の東証1部の空売り比率は39.05%でしたが、この日は35.68%と急低下。積極的に参加する主体が乏しいなか、空売りがいつもより少なかったことが上がった理由といえそうです。

 プレジデントデーで休場だった米株市場は、21日に再開。休み明けもNYダウは最高値を更新しました。トランプ大統領が掲げる国境税の調整導入に反対するウォルマートが好決算を示し、3%上昇。ダウ構成30銘柄で一番の上昇になったほか、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が講演の場で「3月利上げを排除せず」と表明したことで米ドル/円が上昇。IHSマークイットが発表したユーロ圏2月のPMI速報値が56と、約6年ぶりの高水準(この日のドイツDAX指数は1.18%上昇)だったこともあり、日本も海外発のリスクオンの風に乗って連れ高で始まります。22日(水)の始値は19419円。ただ、寄り付き天井となり、この19419円を先週の週間高値にしました。19400円程度の水準で売れるのであれば売ってしまいたい投資家(国内機関投資家含め)が「相当多い」としか表現しようがありません。

 翌24日(木)は、前日のFOMC議事要旨がハト派的との解釈による3月利上げの可能性後退から米ドル/円が一時113円割れしたことなどがマイナス材料。一方で、トランプ大統領の「驚異的な」発言からちょうど2週間(あのときに2〜3週間のうちにと予告)経過し、いつ発表されるかわからない、どんな内容かわからないリスクもあることから、日本株の参加者はますます身動きがとれなくなります。午前中に崩れても、午後は日銀砲が薄商い下で下支え効果を発揮(前日比8円安で終了)。週末25日(金)も、同様です。前日に財務長官のムニューシン氏が、税制改革について「8月までに行う」との方針を明かしたこと、「米ドル高はプラス面ばかりではない」とも発言したことで米ドル/円は113円割れ。この日は2月末配当分の権利落ちで11.7円程度のマイナス影響があるなか、それでも前日比87円安程度で踏ん張った1日という印象でした。

(今週の見通し)

 今週の最大の焦点は、2月28日(火)の米議会合同本会議におけるトランプ大統領の演説です。前回コラムでも触れましたが、日本時間では3月1日(水)の午前11時から中継開始です。これも前回と同じ話ですが、イギリスの国民投票や米大統領選挙と同じ「日本時間で最初に消化する」という時間帯であることに注意が必要です。市場の期待を超える「驚異的な」内容なのか、下回る「驚異的な」内容なのか?を正しく日本の市場で解釈できるのか?2度あることは3度あるではないですが、瞬間的にミスプライスを付けることにならないか?という不安もあります。

 今回は、事前に警戒感が先行しているように見えるところもあります(米長期金利や米ドル/円の動きから)。日本の市場参加者の間で、「市場が驚くような減税の話は出てこないのではないか?」→「そうなると、米株も(日本株も)下がるのではないか?」という雰囲気が出始めています。これを先取り、先に沈んで当日(3月1日)を迎えるのであれば、何も減税の話が出なかったとしても傷が浅いのでは?と考えることもできるでしょう。

 ただ、この希望的観測が間違いのもとになってきたのが過去の急落局面です。Brexitもトランプ勝利も、直前のコンセンサスと真逆だったから起きたことだけが理由ではありません。日本市場の問題点は、みんなが重要と身構えるイベントがあるときほど、「極端に流動性が低下する」点にあります。日経225でいえば、重要なイベントのときほど、板(指値注文)が薄くなります。売買は多くなるのですが、それはヘッドラインにアルゴリズム(機械)が反応しているだけです。そして、結果が出た瞬間、板薄のなかで、より強い力が一方向に加わります。そして、値段が大きく振れたときに、アルゴリズムで入れていた指値注文が全部キャンセルになるような感じになります。単にトレードイベントになるだけで、その瞬間は「Brexitは本当に日経225を暴落させる理由か?」といった検証は価格に全く反映されません。今回はどうでしょうか?一緒だと思います。「トランプ大統領が減税に触れたら日経225を●枚買い」とか、「触れなかったら日経225を●枚売り」とプログラムされていて、その通りに力がかかった場合、みんなが同じ方向についていくことになるでしょう。無駄に下がる、無駄に上がるという現象が、3月初日営業日(1日)に発生するのは必然ではないでしょうか。

 そういったミスプライス形成の可能性を考慮し、今週の想定レンジは18400円〜19600円とワイドに設定します(今週だけ広く見ておきます)。ミスプライス形成後は、あっという間に修正するという習性もあります(単なる投機筋のトレードのため)。驚異的な減税の内容が話されなかったとしても、そもそも2月9日の驚異的な減税予告がある前に戻るだけと見ることはできます。2月9日の日経225の終値は18907円ですので、18900円辺りを今週末の着地点と見ておけばいいように思います。

今後1カ月のレンジは18300円〜19600円とし、上限20000円の見方は取り下げます。ムニューシン財務長官が指摘する通り、減税の具体的な内容が出るのが「8月までに」であるなら、今やっているトランプラリーはその手前(7、8月くらい?)にやればいい話。減税の年内実行も難しい話になるため、減税効果を織り込んで割高化している米株も割高修正する必要が出てくるでしょう。仮に驚異的な減税が発表されてリスクオン化しても、そのときは日本にネガティブな国境税の調整導入がセットになるため、日経225にはニュートラル。驚異的な減税ではなく、米ドル/円がさらに下落、最強だった米株まで下落し始めた場合は、問答無用で日経225にはネガティブ。演説がどちらに転んでも、通過後はニュートラル、もしくはネガティブにその影響を織り込んでいくのではないかと見ています。

(おしまい)

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