岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/01/23 14:38トランプ相場は「期待」と「不安」のシーソーゲーム

日経225 現物指数 終値19137.91円(1月20日)
安値18650.33円(1月18日)/高値19255.41円(1月16日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1〜2017/1/20
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 トランプ新大統領の誕生を目前に、ポジション調整が進んだ週になりました。先週も週間では149円の下落となり、これで2週続けて週間ではマイナスに。日経225が2週連続下げたのは、トランプ・ラリー以降(米大統領選以降)では初のことでもありました。トランプ期待で始まった相場も、第1幕はやはり終わっていた・・・とはいえ第2幕が始まるかもしれないという期待感も依然根強いようにも思われました。

 この週は、週明け早々から崩れる展開に。16日(月)の早朝、為替市場ではポンドが急落(英ポンド/米ドルが一時1.19ドル台に)。英サンデー・タイムズ紙が、メイ首相が17日の講演でハードBrexitの方針を発表すると報じたことが引き金だったとされます。米ドル/円が114円台に入ったこともあり、日経225は東京時間に下げ幅を広げる展開となりました。米ドル売りの流れがトランプ・ラリーの巻き戻しを印象付けたわけですが、その背景には、前週末、トランプ氏がWSJに対して米ドル高への不満を発したことも理由。あくまで中国人民元に対しての発言だったわけですが、円に対して飛び火する不安があるからです。

 17日(火)も前日と同じ、米ドル売り基調に日経225が下げで連動する形。米ドル/円は一時113円台に低下しました。この日注目されたのは、英メイ首相の講演。事前に報道されていた通り、EU単一市場からの完全撤退が明らかになり、英FTSE指数は1.45%安(といっても、その手前で14連騰してしたわけですが)。ハードBrexitはリスクオフの口実として挙げられがちでしたが、やはり役者としてはトランプ動向が上。メイ首相の講演を受けても英ポンドは対米ドルで上昇に転じたわけですから・・・。この日意識されたのは、トランプ氏の側近であるアンソニー・スカラムッチ氏が世界経済フォーラム(スイスのダボスで開催)で、米ドル高進行に警戒感を示したこと。これを引き金に米ドル売りが強まり、米ドル/円も112円台半ばまで下落します。18日(水)の日経225もリスクオフムードから売り優勢で始まり、一時18650円を付けました。多くの市場参加者が想像していなかった安値まで走った感がありましたが、ここが先週時点での悲観のピーク。連日で発動することになった日銀ETF買いも手伝い、午後は米ドル/円と一緒に切り返す展開に。この日の先物手口では、日経225先物とTOPIX先物の両先物でモルガン・スタンレーによる売りが目立っていました。上昇局面で米系証券の先物買いが注目されましたが、この週の手口上では先物の巻き戻しがマイナスのエネルギーを加えていたことが想像できます。

 特段材料のないなか、18日のロンドン時間も米ドルは強めの推移に。その後NY時間ではCPIなど経済指標が強かったことに加え、目線から外れていたと思われたイエレン議長の講演内容に驚くほど反応しました。イエレン議長が「2019年末まで年数回の利上げを想定している」などと発言すると、米長期金利が2.4%台に急上昇。米ドル/円も114円台後半へ上昇し、夜間に日経225先物は19000円台を回復します。これを受けた19日(木)の東京市場はギャップアップスタート。前日まで東証の空売り比率が3日連続で40%超(昨年の9月中旬以来)だったこともあり、売り方による短期間での買い戻しも巻き込んだものとみられます。

 一大イベントを目前にした週末20日(金)も、米ドルの一旦の底入れ感を確認したことを背景に日経225は堅調な展開に。財務長官に指名されているスティーブン・ムニューチン氏が公聴会で「長期的には強いドルが重要」と発言。トランプ氏の「ドルは強すぎる」発言に対しても、「短期的な動きに対して言ったもの」と発言し、一旦の火消しに成功。米ドル/円はこの公聴会中に115円60銭台まで上昇。東京時間は115円を下回って推移していましたが、就任式を目前に控えたタイミングで為替との相関が急に薄れ、午後にかけて上げ幅を広げて終了。昨年6月の英国民投票、11月の米大統領選挙の直前と同じく、重要イベントの“Xデー”にはリスクオンで突入する格好となりました。


(今週の見通し)

 先週末、ドナルド・トランプ氏が宣誓と就任演説を行い、第45代米大統領に就任しました。世界中の視線を釘付けにした就任演説では、「雇用を取り戻し、国境を取り戻し、富を取り戻し、夢を取り戻す」と語り、「米国第一」を再強調。アメリカ優先(保護主義)を前面に押し出す、これまでと何ら変わらないスタンスを確認させられる就任演説に・・・。ひとまず、マーケットは“トランプオフ”で初期反応を示しましたね。米国時間については、米ドル/円が下落した程度で、長期金利は高止まりし、米株も堅調。でしたが、週明けの東京時間に入ると、米ドル/円は下げ(114円割れ)、日経225も先物主導で下げる格好で19000円を割り込みました。

 これから出てくる新政権の財政政策や、その具体的な規模を見るまで、まだ答えを出す段階ではないでしょう。ただ、トランプ政権が減税やインフラ投資で景気拡大を目指す一方、米ドル高は嫌というスタンスをとっています。先手必勝的に(まずは27日の英メイ首相、31日からメキシコで首脳会合を予定。その次に何に動くか?という意味で・・・)、財政の話が出てくる可能性はあり、そうであればプラス。ただ、これと相容れない米ドル高に対するけん制発言等が出てくる可能性もあって、その都度、トランプ氏の気まぐれにお付き合いすることになりそうな日経225・・・ともいえます。

 先週イエレン議長が2度の講演でタカ派寄りの発言をし、長期金利が上昇(ドルも上昇)しました。「いずれ利上げするわけだし、長い目でみれば米ドル高基調だろう」という意見があります。また、米企業決算がそもそも良好で、S&P500のEPS(1株当たり利益)は16年の7-9月から増益に転じていました。「ここに法人実効税率引き下げが決まれば、その分EPSが増加するため米国株も上がるだろう」という意見もあります。トランプ・ラリーは続くという仮説を立てている投資家にとって、先日の就任演説も好意的に見えたことでしょう。

 一方、トランプ大統領のツイート等を通じた米ドル高への不満発言がリスクだし、「米国の貿易赤字拡大や実質金利の低下から、米ドル高基調は続かない」という意見もあります。企業収益についても、「今は良くても先はわからない」という当然の意見があります。強硬な通商政策をとることが米国の多国籍企業にとってマイナスであるし、米ドル高がこれ以上進むこともマイナスになります。そもそも、「すでに米株は過去で見ても高値圏にあり(減税効果なども織り込み済み)、これが上値を重くしている」という意見も根強く存在します。

 これ、相場感がどちらに向いているかで、両方とも正しく見える意見ですよね。トランプ相場の難しいところは、今の時点では2面性があるとしか言い様がない点です。期待(景気刺激策など)の部分が前面に出るか、不安(保護主義志向など)の部分が前面に出るかのシーソーゲームで、その都度、ドルの方向性は変化し、マーケットの表情がころころ変わってしまいます。今できることは、それを追い駆けるしかないわけです。日経225が米ドルの動きを追い駆けているだけという点が根本的な問題なのですが・・・。

 ひとまず、今週の焦点は、トランプ大統領の誕生後のリスクオフがどこで止まるかだけでしょう。1月11日の初めての記者会見翌日、日経225は295円下落し、その後の安値(先週安値)で18650円までありました。米ドル/円については、112.54円が安値。先週は、この水準を目先の底と認識して動いていましたが、最悪ここできちんと止まれるかが重要。今週の想定レンジは、止まれるを前提に、前週より上下200円ずつ切り下げ、18600円〜19200円を想定します。今後1カ月のレンジは18400円〜19500円とします。

(おしまい)

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