岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/04/24 15:12今後の焦点は、再び米国動向と地政学リスクか

日経225 現物指数 終値18620.75円(4月21日)
安値 18224.68円(4月17日)/高値18648.28円(4月21日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1〜2017/4/21
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 その前の週まで心配されていたリスク要因が何か消えたわけではないですが(そもそも心配し過ぎていただけなのかもしれませんが)、先週の日経225は1週間を通じて堅調(水準は低いですが)。週間では6週ぶりの上昇となり、週末21日(金)に週間高値を付けて終えました(水準は低いですが)。

 週初17日(月)は、5日ぶりの小幅上昇に。この日の朝方付けた18224円は年初来安値でもありますが、この辺りから、妙に東京時間の日経225が強くなりました。前週の週末16日、警戒されていた北朝鮮ではミサイル打ち上げが行われましたが失敗。米為替報告書で日本、中国ともに為替操作国に認定されず。これだけで、直前までショートに傾いていた米ドル/円売りの巻き戻しが進むかと思われましたが、開始直後はそうでもありませんでした。イースター休暇で海外投資家が少ないこともあったのでしょうか。ただ、この日の午後に上昇に転じます。取引終了後に発表されて驚きましたが、この日の前場のTOPIX下落率はわずか0.01%。多くの市場参加者が「日銀ETF買いナシ」と思われていたところで、日銀がETF買いで動き、その影響が反映された後場上昇だったのです。「この程度の下げでも買うのか!」という意味ではサプライズをひさびさもたらした日銀ETF買いだったかもしれません。

 18日(火)は、朝イチだけ強くぶつかり、その後失速のパターンでした(ギャップアップの日はだいたい「陰線」)。FT紙のインタビューでムニューシン財務長官が「強い米ドルは長期にわたり良いこと」と発言。前の週のトランプ大統領の米ドルは高い発言についての火消しにも回り、米ドル/円が上昇。NYダウも大幅高となり、これを受けた日本株市場でも、これまで下げていた銀行株中心に朝から買い戻され、日経225も高く始まりました。ただ、この時点では「買い=ほぼ買戻し」と多くのプレーヤーが冷めた目でみていたようです。午後に予定されていた日米経済対話も為替の変動要因として様子見材料になったようです。この日は、こんな報道も昼に出ました。政府が日銀の次期審議委員にバリバリのリフレ派として知られる人物を衆参両院に提示したというもの。現状の積極的な金融政策を維持する可能性が高まる=日銀プレー(日経225買い、円売り)要因ともみえましたが、かなり無反応だったのも印象的でした。

 「確実に誰か買い始めてるよね?」という変化が起き始めたのが、翌19日(水)から。前日の米国市場では長期金利が2.17%台に低下。欧州市場では、英国のメイ首相が6月8日に前倒しで総選挙を実施すると緊急表明し、英国株価指数FTSE100は2.45%と大幅安。米国では四半期決算を発表したゴールドマン・サックスが4.7%下げ、市場予想上ブレの好決算だったJ&Jも3.1%下げるというリスクオフ地合いに起きがちな決算反応もありました。明らかに外部環境は逆風にありながら、なぜか朝から日経225先物やTOPIX先物に強い買いが来ました。先物による指数プレーがグイグイ続くと、耐え切れなくなった銀行株など主力大型株も引っ張られる展開になり、上がらなかった大型の景気敏感株が浮上する展開に。ちなみに、この日のナイトセッション終値(朝5時30分時点)は18310円でしたが、なぜか東京時間の9時過ぎには18450円まで一気に上がったわけです。謎ですよね。

これは、翌20日(木)も同様でした。前日のNYダウが3月27日のザラバ安値を割り込み、原油も50ドル台に逆戻り。一部で「北朝鮮の核実験が4月25日にも行われる可能性が高い」と報じられるなど、環境は良くなかったのですが、2日続けて朝から先物に買いが流入。この日もナイトセッションの終値は18380円ですが、なぜか東京時間の9時過ぎに18500円台まで上昇したわけです。先物に引っ張られているのか、現物株にピンポイントで買いが来ているのか判別不能ですが、市場参加者間では「公的年金が買っているのではないか?」と噂になり始めていました。たしかに、足元で日本の10年債が金利ゼロに向けて低下(債券が値上がり)し、株は値下がりしていました。自然にGPIFなどのポートフォリオに占める債券のウエイトは上がり、株のウエイトは下がります。ウエイト調整の意味で、株を買ってもおかしくないとはいえ、真相は定かではありません(今週27日に出る投資主体別売買動向の「信託銀行」を確認)。ただ、例えば数百億円買いたいときに、先に先物で手当てし、その後に現物に置き換えていく(置き換えるときは先物売り/現物買いになるため市場影響はニュートラル)のは常套手段といえます。“クジラ”が動いているのかもしれません。

 週末21日(金)は、日経225は190円高と大幅高。週末に控えるフランス大統領選挙第1回投票を前に、最新の世論調査で中道派のマクロン候補の支持率が上昇。これが買い戻しの引き金としては大きかったように思いますが、ムニューシン米財務長官が「大型の税制改革を近く提示する」と示したことや、トランプ大統領がテレビ番組で耳障りのいい発言をしたことも米国市場でショートカバーを急がせる手掛かりに。日本では、「森友学園が民事再生法申請へ」と伝わりました。安倍政権のスキャンダルがリスクともいえましたから、これが緩和したとポジティブシンキングを炸裂させた向きもわずかにいたかもしれませんが・・・。先週までショートにポジションに傾き過ぎていたと見られるなか、週末を前に巻き戻しを進める短期筋が多かったのだと思います。

(今週の見通し)

 欧州政治イベントとして注目されてきた仏大統領選。その第1回投票では、直前の世論調査通り、中道派のマクロン候補と極右政党のルペン候補が得票率で優勢となりました。5月7日に実施される第2回目の決戦投票はマクロンVSルペンとなり、この組み合わせで「ルペン候補が勝利する可能性はほぼ無い」というのが世論調査から見えていました。ということで、仏大統領選というリスクイベントに関しては、7日の第2回投票を待たず、何らサプライズをもたらすこともなく実質的には「このトレードネタは終了した」といえるでしょう。

 この結果を受け、24日の朝7時過ぎ、CMEの日経225先物(円建て)は高値で19070円まで上昇。この直前に米ドル/円は110.39円まで上昇。ユーロ/米ドルは1.09ドルにワンタッチしており、リスクオンで今週は幕開けとなります。世論調査通りの結果で驚きはないものの、昨年の教訓から結果を受けて動いた投資家(リスクオフのポジションの巻き戻し含め)がかなり多かったことが想像できます。とくに、日本株市場はそういう要素が強い市場です。日本の機関投資家の多くが、イベント直前に売りヘッジ(プット買いなど)し、結果判明後にオーバーヘッジ分を外す(今回であれば、売りヘッジを外すため買い要因になる)性格をもっています。朝から日経225は上昇し、そしてIV(インプライド・ボラティリティ)は低下することになるでしょう。

 ただ、今回のイベントに関してはそれだけだと思います。選挙結果を受け、一部米系証券では、「大きなラリーは期待しづらい」と指摘。当事国である仏の株価指数CACは好パフォーマンスで、そもそも選挙に対する警戒感が出ていなかったためだといいます。日経225についても同様でしょう。朝から上がったとして、そもそも仏選挙不安で下げていたのか?と思い起こせば、答えはNOですよね。ここからの焦点は、また米国動向と地政学リスクに戻るだけでしょう。

 先週末、米国のトランプ大統領が「26日に税制改革に関する重大な発表をする」と発表しました。米国に関しては、この発表を市場がリスクオン材料にするかどうかが注目されます。今週29日がトランプ大統領就任から100日。ハネムーン期間と呼ばれる100日ですが、報道ベースの最新の支持率は42%程度だそうです。なんとしても支持率を上げたいトランプ大統領だけに、大統領案としてですが、かなり見栄えの良い大型減税プランを出してくるかもしれません(実現できるかどうかは別にして)。マーケットにおけるトランプ大統領の影響力を図る意味で注目。日経225が19000円を本格的にブレイクできるかどうかは、ここにかかっていそうです。

 日経225は、前々週まで5週連続下落し、その間に1269円下落しました。ようやく先週反発しましたが、上昇したのは下落分の2割強の285円に過ぎません。なんとなく底入れしたという程度。はっきりリバーサルと呼べる現象は起きていないだけに、強めのリバーサルがいつ起きてもおかしくはありません。また、なんとなく底入れしたことにも意味はあり、先週安値の18224円割れでストップロスすると決めれば、リバーサルを狙ってロングからエントリーしやすくなります。また、先週の18500円割れ水準で、異様に先物買いが来ていたことも安心感。まだ定かではないですが、「18500円割れ水準では“クジラ”が買いで動いているかもしれない」という憶測が生まれたことは、頭の片隅に置いておくべきでしょう。

 北朝鮮が核実験をする可能性が高いとされる25日(朝鮮人民軍創軍85周年)を大事なく通過すれば、という前提付きですが(そもそも大事になった場合は想定レンジどころか、投資している場合ではないので)、
今週の想定レンジは18500円〜19200円とします。日本企業の決算発表も増えてきますが、日経225に影響を及ぼすことはないでしょう(良い方にも悪い方にも)。今後1カ月のレンジは18000円〜19500円とワイドに設定。先週、ゴールドマン・サックスが対ユーロでの米ドル買い推奨を取り下げたほか、TOPIXの目標水準を引き下げ、クレディスイスが日経225の目標水準を引き下げました。中長期での外資系証券の日本株に対する目線は下がっている、という事実は頭に入れておいてください。

(おしまい)

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