岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/08/14 14:00日本の夏、「緊張の夏」!?

日経225 現物指数 終値 19729.74円(8月10日)
安値 19660.27円(8月10日)/高値 20085.90円(8月7日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1〜2017/8/10


(先週の振り返り)

2カ月にわたって動かなかった日経225。お盆休みを前に、夏枯れ相場は確定、そんなムードが漂っていたタイミングで・・・その静寂を切り裂いたのがまたしても「北朝鮮リスク」でした。10週ぶりに週間変化率が1%を超え(前週比1.11%の下落)、大幅安となった9日(水)には6月5日以来47営業日ぶりに前日比の変化率が1%を超えました(前日比1.28%の下落)。

週初7日(月)は、強めの数字だった前週末の米雇用統計を受け、米長期金利が2.265%に上昇(米ドル/円も上昇)していたことを好感。金利上昇で米金融株がすかさず買われ、米ドル高でもNYダウまで続伸しました。外部環境の追い風と、前週末に上方修正(コンセンサスは下回っていたが・・・)を発表していたトヨタの大幅高もあって、前の週の高値に迫る20085円まで上昇。とはいえ、買われる理由はこの2つ程度で、この日の上下値幅はわずか48円と凪でした。そして、この日の高値が先週のピークに。

翌8日(火)も小幅高でスタート。小動きながらNYダウが10連騰、一方で、米ドル/円は110円台で止まっている円高を重石にする毎度の構図です。ただ、前日比マイナスに転じた場面で、売り材料になったと言われていたのが北朝鮮に関する報道でした。北朝鮮の朝鮮中央通信が、韓国軍の海上砲撃訓練を「軍事

的挑発」と非難し「ソウルまでも火の海になりかねないことを肝に銘じ、むやみに暴れないようにすべきだ」と威嚇。とはいえ、この日は前場のTOPIXで0.33%安になる程度の反応で、結果的に薄商いのなか後場は
日銀ETF買いで持ち直す日常的光景で取引を終えます。ここまでは、これまで通りの動かない日経225でした。

この環境が2カ月続いたことで、歴史的な低ボラ相場に慣れきった投資家も多く、9日(水)もまさか一時300円安なんて展開になるとは誰も思っていなかったといえるでしょう。前日比68円安の19928円で始まった9日ですが、「寄り付き下がったけど、ここで止まる。後場は日銀ETF買いで支えて止まる」その程度で構えていたプレーヤーが大半だったと思われます。朝から市場が警戒レベルをあげていたのが、前日少し浮上していた北朝鮮リスク。北朝鮮が小型化した核弾頭の開発に成功した、夏休み中のトランプ大統領が「炎と怒りで報いを受けることになる」と警告したといった報道に加え、東京時間の朝に聯合ニュースが「北朝鮮が中距離弾道ミサイルでグアム周辺の包囲射撃のための作戦案を検討している」と報道。解釈に困っていた市場参加者が最初は多かったのですが、静寂を切り裂いたのは9時32分に集中的に入った日経225先物、TOPIX先物売りでした。
この売りで日経225が100円近く下げ、19800円を割り込んだ指数の下げを見て、北朝鮮リスクへの警戒度が急に上がったような順番だったといえます。実際、リスクに備えたヘッジ売りと見られる動きが広がったのも、少し遅れた9時46分ころ(19500円プットなどアウトのプットの出来高が増加)。有事の円買いなのか、米ドル/円も110円を割れましたが、明らかに株のほうがリスクオフに傾いた格好になりました。なお、この日も当然午後に日銀ETF買いは入り、下げ幅を少し縮めて取引を終了(この日に誰が売ったか?など需給分析は後述します)。冒頭の通り、この日に5月18日以来となるひさびさの下げ幅(257円安)に。

3連休前の10日(木)。ひさびさの大幅調整から一夜明け、やや落ち着きを取り戻して始まります(寄り付きで53円高)。この日は8月限のSQで、SQに関連する日経225型の注文は市場推計で280億円程度買い越し(SQ値は19825.92円、前日比87.21円高)。SQ要因で持ち上がった分があったほか、日経225構成銘柄の資生堂が上方修正の発表で急騰。1銘柄で20円強の値上がり寄与もありました。その割には上値が重く、前場の終盤マイナスに転じます。北朝鮮リスクで崩れている相場ですので、3連休中にニュースフローが出るかもしれない不気味さはありました(この日も、朝鮮中央通信がグアム周辺へのミサイル発射計画について「ミサイル4発が日本上空を通過して飛行する」といった具体的な実行計画があることを公表)。前日はアジア時間で一番下げたのが日本(日経225)でしたが、この日は日本以上に中国、香港、台湾の株価指数が一時そろって1%強の下げになるなど弱く、連日で韓国のKOSPIも下落。これも不気味さを演出したままお盆休み前の先週末を終えました。ただ、思ったより後場崩れなかった日経225。その理由は、3日連発となる日銀ETF買いにありました。前場のTOPIXの下落率は0.13%でしたが、日銀は早くも今月5回目となるETF買いを発動していたようです。


(今週の見通し)

日本の夏、緊張の夏というCMのキャッチコピーのような雰囲気に急転してしまいました。歴史的な低ボラティリティのもと、あまりにも緊張感の無い相場が2カ月続いていただけに、動きが出てきたことはトレーダー

的には朗報。とはいえ、動き出した理由が最悪という状況です。4月に続き、市場が緊張を高めた理由が北朝鮮リスク。11日(金)のNY市場で、VIX指数が一時17.28まで上昇しましたが、これは昨年の米大統領選があった11月9日以来の高い水準です。7月の米PPI(生産者物価指数)が11カ月ぶりの前月比マイナスとなり、米利上げ観測も後退。米長期金利が2.190%に低下したことも米ドル売り要因となって、北朝鮮リスクからの回避と合わせて米ドル/円は一時109円割れ。11日(金)のナイトセッションで日経225先物は19350円という予期せぬ水準で安値引け・・・とお盆休みの気分を吹き飛ばすような展開から今週に入ります。

米朝関係の緊迫化の引き金は、先週9日の日経225大幅安を招いた北朝鮮によるグアム周辺海域へのミサイル攻撃示唆、そして、それに対するトランプ米大統領が報復攻撃を示唆する発言でした。4月の北朝鮮リスクと異なるのは、今回はトランプ大統領のエスカレートする発言などから、市場が米国による軍事的な手段による問題解決の可能性を意識していることにあります。来週21日から、韓国で定例の米韓合同軍事演習が予定されています。それまでの今週1週間は、北朝鮮リスクを抱えたままとなります。北朝鮮が「火星12」4発をグアム周辺海域へ着弾させるとしている作戦計画も、「8月中旬までに最終確定」といった具体的な話で伝わっています。そうした意味でも、現時点で「もう織り込んだ」とは判断できません。

VIX指数は先週末、17.28まで上昇したあと、上ヒゲを残して15.51で終了しています。チャートだけ見ると一旦北朝鮮リスクを織り込んだように見えます。本当でしょうか?日経225が週明けギャップダウンで19500円割れしました。ボリンジャーバンドの-3σ(19570円)を割り込んでおり、売られ過ぎ側の異常値が出て始まっています。では、ここは買い場なのでしょうか?一目均衡表の雲下限(先行スパン2)が19430円処にあります。本当にここで止まると言い切れるでしょうか?

そもそも、これまでの前提には、低ボラ相場で海外投資家の動きが緩慢だったことがあります。売買も少ないなかにあっては、デイリーベースで下げる日も、日銀ETF買いの700億円超の買い越しで指数を下げ止まらせていました。ただ、デイリーベースで海外勢からの極端な売りが持ち込まれていなかったことが前提でした。それが崩れたのが先週9日です。この日、これまで市場から消えていた露骨な売り仕掛けが日経225大幅安の直接的な原因になりました。

この日の下げは、先物の出来高が膨らんだポイントがいくつかしかなく、国内機関投資家の売りヘッジが偶然同タイミングで重なったとは考えにくいため、こういった下げ方は売り仕掛けがあったという仮説が立てられました。そしてこの日の先物手口で登場したのが、日経225先物、TOPIX先物とも売り筆頭としてクレディスイス証券(以下CS)。CSが日経225先物を5240枚売り越し、TOPIX先物を2971枚売り越していました。これすごい規模で、金額ベースに直すと日経225先物だけで1000億円以上、TOPIX先物で約480億円に相当する売り越しです。CSを使ったヘッジファンドの売り注文なわけですが、この2つの先物だけで約1480億円、つまり日銀ETF買い2発分の売りエネルギーがもたらされたわけです。

CSといえば、アベノミクス相場前半の上昇局面での強烈な買い手口、その後の調整局面での売り手口など要所で極端な手口を出すブローカーとして知られています。ただ、ここ1年程度は鳴りを潜めていたブローカーだったのが、急に再登場してきた・・・。2カ月続いた超こう着相場で市場が忘れていたことですが、この

狭いレンジを変化させたい(相場を動かしたい)プレーヤーが市場に存在することが確認されたわけです。日銀ETF買いが強力とはいえ、1日ベースではこれに勝る売り注文が来た場合、崩れてしまう・・・この現実も確認されました。また、週明けのギャップダウンは日経225先物で230円と大きくなりましたが、これも夜間の先物の下落なので外国人売りによる下押し圧力と断定されます。夜間に下げる相場に切り替わると、この時間帯に日銀は動けないため、下方向への水準訂正も大きくなります。

今はデリバティブ経由で下げています。現物株も空売り比率が9日、10日と2日続けて41%台となっていたため、空売りも多くなっており、仮需で下げていることは間違いありません。仮需で下げた相場は、その先は買い戻しで戻ることが多いと考えます。とはいえ、週初の大幅安により、テクニカル指標で“売られ過ぎ”のサインが出たから下げ止まる、というロジックは無理があります。米朝関係に伴うリスクオフの動きが海外時間で収まるかどうか(夜間の先物の動きで確認)、日中取引も先物手口がどうなっているか(CSなど海外勢の売り越し手口が継続していないかどうか)、もちろん北朝鮮問題が進展しないかどうかも確認せざるを得ません。タイミング悪く、日本はお盆休みです。積極的な押し目買いが入るとも言えず、押し目買いを入れるよりはアウトのプットを買うなど売りヘッジをしておこうという意識が働きやすいともいえます。仮需で下げ過ぎた分の修復は来週以降と想定し、想定レンジは19300円〜19800円、今後1カ月のレンジは19000円〜20100円に引き下げます。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

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